いよいよTPP交渉参加に向けての動きがきな臭くなってきました。つい2,3日前には野田首相が参加へ向けた地ならしを行うよう指示を出したとかという記事がありました。
この問題での僕の大きな問題は、以前から書いていますが日本の全新聞が賛成していること。これはちょっと異常な状況だと思うし、ある意味で恐ろしいことであると思っています。
ちなみに、アマゾンで「TPP」と検索すると、出てくる本は皆反対派の本で、賛成派の本は一冊もないんです。マスコミはそろって賛成なのに、このいびつさは一体どういうことでしょう。
読売も日経も、最近になってようやく「医療」「労働」「政府調達」などの交渉もあることを書き始めましたが、「交渉に参加しなければその中身もわからない」から「参加しろ」とかいう始末。何があってもその結論を変えようとはしません。
いやはや、まったくもってわからない。
日経は、12日、13日と「経済教室」の紙面で「TPP参加の意義」を載せています。一人は木村福成という国際貿易論が専門の慶応の教授、もう一人は戸堂康之という国際経済学、経済発展論が専門の東大の教授が書いています。
素人の僕が読んでも噴飯物です。大学教授は馬鹿でも務まることの見本かも知れません。空疎な言葉のオンパレードです。
今日は、最初の一人木村福成氏の論説のおかしさを指摘します。
記事にはポイントとして次の3つが書かれています。
まず最初のポイントですが、氏は自由貿易体制は一種の国際公共財なのだとしています。これはそうなのかも知れません。ただ、その維持の責任を果たせということは、氏の中で「いまそれは崩壊の危機に瀕している」という思い込みがあるのでしょう。しかし、そんな自由貿易体制が崩壊の危機だとは僕は寡聞にして知らない。 さらに、氏のいう自由貿易体制は関税0がその定義で、関税があっては自由貿易とは言わないのでしょうか?自由貿易の恩恵で日本は戦後復興したのだから、その恩恵を広く世界に与えるべきだというのは分かりますが、自由貿易とはいいつつも保護的な関税品目があるのが当然の世界でしょうが!一体、この人は何を言っているのだか・・・。
ちなみに日本が果たす国際責務は、世界貿易会議の報告書に「アメリカにかわって世界経済の牽引役になること」とあります。責務というか、期待感ですね。そうです。もっと日本の内需を増やせとその報告書は言っているのです。
次のポイントですが、僕にはこの何が問題なのかが理解できない。日本・ASEAN経済連携協定の貿易自由化度という表を載せているのですが、関税率が0となる品目数が日本は少ないということを問題だとしているらしいです。先進国は途上国に対して度量を示せと・・・。確かにそうなのかも知れませんが、日本はASEAN諸国に対しては多額の政府開発援助を与えてきているし、一方的に彼らを収奪・搾取しているわけではない。もっと多面的にみる必要があるだろう。コメの輸出国タイとの交渉では、タイ国内への農業技術の提供や、貧困対策などを日本が援助することの引き換えに、タイのコメの自由化要望を取り下げさせたという経緯もある。こういう、交渉の結果としてその数字になっているわけであって、ただ自由化度が少ないということだけで批判の対象になるのだろうか?
さらに、この人は最近のFTAは関税0が98~100%だという世界の潮流だといって、「関税」という国境措置ではなく、国内補助金への切り替えが必要だといっているから驚く。ということは、今よりも補助金漬けにしろということなのか?
最後のポイントについては、まさしく噴飯ものだ。氏は「21世紀型地域主義」という言葉を使い、その構築への貢献も日本が担う国際的責務だというのだが、果たしてそれは何を意味し、何をするものなのかという説明がないまま、その言葉を使っているのはおかしくないか?先ずは氏のいうそれがいったい何なのかを説明するのが筋だろう。これではまるで民主党政権のキャッチフレーズと同じではないか・・・。
氏はこんなことも言う。
これもとってつけたようなもの。WTO加盟は150カ国。そんな中で加盟国共通のルールを決めることは困難だ。原則賛成、各論反対はどこの世界にもあることだ。だからこそ、各論だけを決めようということで、2国間、または地域間で交渉するようになっただけで、それは極めて普通のこと。国際経済秩序の構築とか、そんな大それたものではないと思うが・・・。150カ国では一致は無理だが、2国間あるいは10数カ国とかならまとめられるだろうということに過ぎない。
どうです?最初に言いましたが、素人の僕にですらこれだけの指摘ができる。
最後に、氏はこう言うのです。
僕からすれば、飢えた大男の前に「鴨がねぎを背負って前にでる」(中野剛志の言葉)ようなTPPに参加すること、そのものが「冷笑」をあびることそのものです。
「国益を考えずにアメリカの言いなりになる国」。これはTPP参加国のうちアメリカ以外の国の冷笑。
一方のアメリカは「またもこんな簡単な餌に食いついてきた・・・」という冷笑です。
氏の言う「経済学の論理」でいえば、この国の状況を何とかしようと考えるとき、まずはデフレからの脱却が急務であり、この10年以上続くデフレの状況下で、何をどう考えれば「自由貿易」などというますますデフレを加速させるような政策に賛成するのか?それこそ経済学の論理に反してはいないか?
今日はこれまで。
この問題での僕の大きな問題は、以前から書いていますが日本の全新聞が賛成していること。これはちょっと異常な状況だと思うし、ある意味で恐ろしいことであると思っています。
ちなみに、アマゾンで「TPP」と検索すると、出てくる本は皆反対派の本で、賛成派の本は一冊もないんです。マスコミはそろって賛成なのに、このいびつさは一体どういうことでしょう。
読売も日経も、最近になってようやく「医療」「労働」「政府調達」などの交渉もあることを書き始めましたが、「交渉に参加しなければその中身もわからない」から「参加しろ」とかいう始末。何があってもその結論を変えようとはしません。
いやはや、まったくもってわからない。
日経は、12日、13日と「経済教室」の紙面で「TPP参加の意義」を載せています。一人は木村福成という国際貿易論が専門の慶応の教授、もう一人は戸堂康之という国際経済学、経済発展論が専門の東大の教授が書いています。
素人の僕が読んでも噴飯物です。大学教授は馬鹿でも務まることの見本かも知れません。空疎な言葉のオンパレードです。
今日は、最初の一人木村福成氏の論説のおかしさを指摘します。
記事にはポイントとして次の3つが書かれています。
・日本は自由貿易体制の維持に責任を果たせ
・FTAで途上国より自由化度低いのは問題
・不参加ならば東アジア経済統合の質下げる
まず最初のポイントですが、氏は自由貿易体制は一種の国際公共財なのだとしています。これはそうなのかも知れません。ただ、その維持の責任を果たせということは、氏の中で「いまそれは崩壊の危機に瀕している」という思い込みがあるのでしょう。しかし、そんな自由貿易体制が崩壊の危機だとは僕は寡聞にして知らない。 さらに、氏のいう自由貿易体制は関税0がその定義で、関税があっては自由貿易とは言わないのでしょうか?自由貿易の恩恵で日本は戦後復興したのだから、その恩恵を広く世界に与えるべきだというのは分かりますが、自由貿易とはいいつつも保護的な関税品目があるのが当然の世界でしょうが!一体、この人は何を言っているのだか・・・。
ちなみに日本が果たす国際責務は、世界貿易会議の報告書に「アメリカにかわって世界経済の牽引役になること」とあります。責務というか、期待感ですね。そうです。もっと日本の内需を増やせとその報告書は言っているのです。
次のポイントですが、僕にはこの何が問題なのかが理解できない。日本・ASEAN経済連携協定の貿易自由化度という表を載せているのですが、関税率が0となる品目数が日本は少ないということを問題だとしているらしいです。先進国は途上国に対して度量を示せと・・・。確かにそうなのかも知れませんが、日本はASEAN諸国に対しては多額の政府開発援助を与えてきているし、一方的に彼らを収奪・搾取しているわけではない。もっと多面的にみる必要があるだろう。コメの輸出国タイとの交渉では、タイ国内への農業技術の提供や、貧困対策などを日本が援助することの引き換えに、タイのコメの自由化要望を取り下げさせたという経緯もある。こういう、交渉の結果としてその数字になっているわけであって、ただ自由化度が少ないということだけで批判の対象になるのだろうか?
さらに、この人は最近のFTAは関税0が98~100%だという世界の潮流だといって、「関税」という国境措置ではなく、国内補助金への切り替えが必要だといっているから驚く。ということは、今よりも補助金漬けにしろということなのか?
最後のポイントについては、まさしく噴飯ものだ。氏は「21世紀型地域主義」という言葉を使い、その構築への貢献も日本が担う国際的責務だというのだが、果たしてそれは何を意味し、何をするものなのかという説明がないまま、その言葉を使っているのはおかしくないか?先ずは氏のいうそれがいったい何なのかを説明するのが筋だろう。これではまるで民主党政権のキャッチフレーズと同じではないか・・・。
氏はこんなことも言う。
世界貿易機関(WTO)がグローバリゼーションに対応する政策の拡張に失敗する中で、新たな国際経済秩序の構築の尖兵は柔軟性に富む地域主義となってきた
これもとってつけたようなもの。WTO加盟は150カ国。そんな中で加盟国共通のルールを決めることは困難だ。原則賛成、各論反対はどこの世界にもあることだ。だからこそ、各論だけを決めようということで、2国間、または地域間で交渉するようになっただけで、それは極めて普通のこと。国際経済秩序の構築とか、そんな大それたものではないと思うが・・・。150カ国では一致は無理だが、2国間あるいは10数カ国とかならまとめられるだろうということに過ぎない。
どうです?最初に言いましたが、素人の僕にですらこれだけの指摘ができる。
最後に、氏はこう言うのです。
世界共通後である経済学の論理に耳を傾けず、国内政治の問題を自ら解決できず、国際的責務を果たさずにう内にこもる国、他国の冷笑を浴びるような国になってはいけない。
僕からすれば、飢えた大男の前に「鴨がねぎを背負って前にでる」(中野剛志の言葉)ようなTPPに参加すること、そのものが「冷笑」をあびることそのものです。
「国益を考えずにアメリカの言いなりになる国」。これはTPP参加国のうちアメリカ以外の国の冷笑。
一方のアメリカは「またもこんな簡単な餌に食いついてきた・・・」という冷笑です。
氏の言う「経済学の論理」でいえば、この国の状況を何とかしようと考えるとき、まずはデフレからの脱却が急務であり、この10年以上続くデフレの状況下で、何をどう考えれば「自由貿易」などというますますデフレを加速させるような政策に賛成するのか?それこそ経済学の論理に反してはいないか?
今日はこれまで。
0 件のコメント:
コメントを投稿