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2011年10月17日月曜日

良書紹介

ここ1週間ほど寝込んでいた僕は、その間かなり本を読みました。

そのいくつかをご紹介します。そしてここに挙げた本が、ここのところTPPに関わる新聞記事を批判した文章のタネ本となります。順不同でご紹介しますが、まず「公共事業が日本を救う」と題された本には、世の中に流通している公共事業悪玉論の中には明らかな事実誤認や、都合のよいように書き換えたデータが数多く存在し、そんな嘘をベースに公共事業を不要にしたらこの国が滅ぶと警鐘をならしています。かなりよい本です。著者は京都大学の土木の教授です。氏の示すところによって日本の道路は先進国の中で最悪の水準であることが明らかとなり、異様に高いといわれ続けている公共事業費の、世界との比較でも、条件を同じにすればアメリカと大差はないということが書かれています。
GDP=消費+投資+政府支出+経常収支なのだから、消費と投資がデフレ下で伸びないのならば、積極財政によって政府支出を伸ばす以外にGDP成長の道はないと明確に言い切ります。その論旨が明確で小気味が良い。



「TPP亡国論」「間違いだらけのTPP」は、TPPとは一体何なのかを考えるときの必須の双璧です。どちらもきちんとしたデータを使い、そのでたらめさ、そしてアメリカの狙いを予想しており、一貫してその参加は国を滅ぼすもとだと言い切ります。TPPに関する書籍はこの2冊を読めば十分でしょう。

これだけ読めば、世に流通するTPP参加の論説のいい加減さでたらめさがすぐにわかります。これらが僕のその論説批判のタネ本です。


亡国論の著者は中野剛志。以前も紹介しましたね。現役経産相の官僚で現在京都大学へ出向中。最初に紹介した藤井聡氏のもとにいるようです。

まちがいだらけの著者は東谷聡。彼はかなり硬質なジャーナリストだと僕は思っています。西部邁主幹の雑誌でよく記事を挙げていました。








ちょっと、毛色はかわります。僕の好きな三品和広の「戦略暴走」。ずっと読んでみたいと思っていたのですが、ようやく一気に読み終えました。これは、タイトルのとおり、新規事業の失敗を「戦略の暴走」と名づけ、その原因を追ったもの。事例は様々な業種から179集められています。中でも僕にとって興味深かったのは1990年代初頭の「リゾート法」によって多くの企業が、それに参入した後の、いわば「夢の宴」の後始末。そのころ、そんな仕事に関わっていたので、他人事とはあまり思えなかった。あとは伊勢丹がバーニーズと合弁した顛末とかね。伊勢丹はその何と平均利益の9年分の損失を出したんだとか・・・。三品氏の面目躍如は今回もでていて、それは、その暴走をなした経営者そのものを出していること。その主役として必ず分析対象としています。経営は属人的な要素の強いものであり、戦略は為すではなく、むしろ読むにあるといっている三品氏の研究姿勢には大きな共感を覚えます。

最近、立て続けに本を出していますね。また次の著作が楽しみです。


最後は、最近新聞の書籍広告で多く見ていた三橋貴明の著作です。彼は2ちゃんでの書き込みが発端で、ブログがブレイクし、それがもとで作家デビューをしたのだとか・・・。面白い経歴ですが、著作も実に面白かった。タイトルは「何があっても日本経済は破綻しない本当の理由」

彼も、最初に紹介した藤井氏と同様に、世の中に流通しているデータの解釈、その嘘を暴きます。たとえば、「国の借金」という言葉遣い。彼によればそこでいう「国」は単なる中央政府のことにすぎず、「国」という言葉をつかうのならば企業、民間あわせた借金を示さなければ正しい言葉遣いとはいえないといいます。まさしくその通り。そして「国の」とした場合の日本国の借金などなく、逆に250兆円近い、黒字があり世界一の金持ちなのだと。

そして、国債発行というかたちでまかなわれる中央政府の借金は、そのまま国内の金融機関やら個人の資産となる、つまりは形をかえるにすぎないといいます。彼も積極財政によるデフレ脱却を主張します。

三橋氏の著作はかなりありますが、あと2,3冊読んでみようとは思いません。僕には好きになれない文章だから・・・。決して内容のことではありません。

今日はこれまで。

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