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2011年10月4日火曜日

市場は万能か?

昨日(10月3日)の日経社説には絶望した。決して大げさな表現ではなく、世の中のほとんどの経営者が読む、つまりは責任ある人々が読むであろう新聞としてこの程度のレベルかと絶望したのである。

読み返したくもないので引用はしないが、要するに日本が成長するために戦略が必要で、そのためには規制緩和が急務だというのである。そこには市場こそが万能であるという妙な思い込みがある。

この論調、数年前の小泉・竹中の叫んだ「構造改革」と同じであることに気づく。その結果日本の社会がどうなったのか忘れているのだろうか?あの結果が今の社会であり、今の社会を非とするならば、あの「構造改革」なるものが失敗だったと認めるざるを得ないということになるのだが、おそらく彼らは「あれは中途半端だった」というのだろう。

想起してほしいのは、日本の自殺者が3万人を超えるようになったのはあの絶叫とともにであり、ワーキングプアだとか、下流社会とかいう言葉が出てきたのも同時期である。

同社説は、お決まりの「日本農業の大規模集約化」を言う。要するに効率をあげろというのだ。そして国内市場だけでなく積極的に海外市場を取り込むべきだというのだ。彼らのいう海外というのは、「成長著しいアジア市場」が念頭にある。だからTPPに参加しろと言ってるからね。しかし、TPP参加国のうちアジアと呼べるのはシンガポール・ベトナム・ブルネイ・インドネシアくらい・・・。日本の高い
農産物を買ってくれる国はないとみるのが自然だ。

仮に、農業が輸出産業として大成したとしよう。そしてそれが日本経済全体の底上げにつながるとしよう。そうなればますます円高は進行するのではないか?自家撞着だ。

こんなことも言ってたなぁ。「混合診療も認めろ」と・・・。保険適用薬品と、適用外薬品を消費者(つまりは患者)に選択できるようにするべきだと。そううすれば医療薬品分野での技術革新が進むと言っている。

これは要するに、「貧乏人は死ね」ということだね、極端にいえば。適用外薬品というのは、海外で開発されて海外で使用されている薬品のこと。なぜ日本が認可しないがわからないけど、適用外だから値段も高い。それを使えるのは高所得者に限られるでしょ。

ちなみに、TPPの交渉項目にはこの分野(医療)も入っている。参加したらこのようになる。株式会社の病院が出来て、医療過失裁判のリスクの高い診療科目(よくわからんけど、産婦人科とかかな?)は敬遠されるだろう。それすらも市場原理にまかせていいのだろうか?


よく彼らは「グローバル化」の波に乗り遅れるな、それが世界の潮流だという。不思議なのは、乗るのはいいが、問題はその乗り方。もっといえば、グローバル化などというのはアメリカ化と同義語だ。抵抗したってよいではないか。この国にはこの国の国柄がある。

ホントに日経にしろ、読売にしろ、新聞のいうアホな論調にだまされないで欲しい。ほんの少しの想像力を働かせてくれればいいのだ。それには普通名詞でなく、固有名詞で考えればいい。

今日はこれまで。


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