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2011年10月20日木曜日

果たして真意は那辺にありや?その4

民主党政権は、普天間での失策をTPPへの参加で補おうとしているのですね・・・。日経・読売・産経もアメリカべったりの現状の姿勢から、この国の真の独立への一歩を踏み出すことなく、「アメリカ様の要請ならば・・・」ということなのでしょう。それがおそらくTPP参加への真意でしょう。

しかるに、朝日や毎日の反米は一体どこへいったのか?

その真意は未だ「那辺にありや?」です・・・。おそらく、この国のかたちを滅ぼしたいのだな・・・。そのためには時に反米、時に親米・・・。

この問題では「赤旗」だけが唯一正しい!


昨日の読売には、ようやく、ホントに今になってようやくですよ、24の作業部会の項目が掲載され、そのそれぞれについての日本のメリット、デメリットが箇条書きで記されていました。もうアホらしくて
コメントする気もおこりません・・・。

「成長著しいアジアの市場を取り込め」

それが賛成派の一番の根拠ですが、その筆頭である中国も韓国も入っていないじゃないか!一体、どの「アジア」なんだ?

「中国封じ込めにも資する」

とか、要するに安全保障上の意味合いからも参加せよとか言ってるが、TPPは経済連携であってそこに軍事的な側面など微塵もないだろうが!アホか!

世の中の風潮=マスコミの論調ではないということを再認識しました。おそらくこの問題も多くの国民は参加しないほうがいいと思っているのではないか?ただ、問題は政治家がマスコミを向いて仕事をしているということで、世の中の声なき声をわかっていないということ。

心底嫌になるわ・・・。

今日はこれまで。

2011年10月17日月曜日

良書紹介

ここ1週間ほど寝込んでいた僕は、その間かなり本を読みました。

そのいくつかをご紹介します。そしてここに挙げた本が、ここのところTPPに関わる新聞記事を批判した文章のタネ本となります。順不同でご紹介しますが、まず「公共事業が日本を救う」と題された本には、世の中に流通している公共事業悪玉論の中には明らかな事実誤認や、都合のよいように書き換えたデータが数多く存在し、そんな嘘をベースに公共事業を不要にしたらこの国が滅ぶと警鐘をならしています。かなりよい本です。著者は京都大学の土木の教授です。氏の示すところによって日本の道路は先進国の中で最悪の水準であることが明らかとなり、異様に高いといわれ続けている公共事業費の、世界との比較でも、条件を同じにすればアメリカと大差はないということが書かれています。
GDP=消費+投資+政府支出+経常収支なのだから、消費と投資がデフレ下で伸びないのならば、積極財政によって政府支出を伸ばす以外にGDP成長の道はないと明確に言い切ります。その論旨が明確で小気味が良い。



「TPP亡国論」「間違いだらけのTPP」は、TPPとは一体何なのかを考えるときの必須の双璧です。どちらもきちんとしたデータを使い、そのでたらめさ、そしてアメリカの狙いを予想しており、一貫してその参加は国を滅ぼすもとだと言い切ります。TPPに関する書籍はこの2冊を読めば十分でしょう。

これだけ読めば、世に流通するTPP参加の論説のいい加減さでたらめさがすぐにわかります。これらが僕のその論説批判のタネ本です。


亡国論の著者は中野剛志。以前も紹介しましたね。現役経産相の官僚で現在京都大学へ出向中。最初に紹介した藤井聡氏のもとにいるようです。

まちがいだらけの著者は東谷聡。彼はかなり硬質なジャーナリストだと僕は思っています。西部邁主幹の雑誌でよく記事を挙げていました。








ちょっと、毛色はかわります。僕の好きな三品和広の「戦略暴走」。ずっと読んでみたいと思っていたのですが、ようやく一気に読み終えました。これは、タイトルのとおり、新規事業の失敗を「戦略の暴走」と名づけ、その原因を追ったもの。事例は様々な業種から179集められています。中でも僕にとって興味深かったのは1990年代初頭の「リゾート法」によって多くの企業が、それに参入した後の、いわば「夢の宴」の後始末。そのころ、そんな仕事に関わっていたので、他人事とはあまり思えなかった。あとは伊勢丹がバーニーズと合弁した顛末とかね。伊勢丹はその何と平均利益の9年分の損失を出したんだとか・・・。三品氏の面目躍如は今回もでていて、それは、その暴走をなした経営者そのものを出していること。その主役として必ず分析対象としています。経営は属人的な要素の強いものであり、戦略は為すではなく、むしろ読むにあるといっている三品氏の研究姿勢には大きな共感を覚えます。

最近、立て続けに本を出していますね。また次の著作が楽しみです。


最後は、最近新聞の書籍広告で多く見ていた三橋貴明の著作です。彼は2ちゃんでの書き込みが発端で、ブログがブレイクし、それがもとで作家デビューをしたのだとか・・・。面白い経歴ですが、著作も実に面白かった。タイトルは「何があっても日本経済は破綻しない本当の理由」

彼も、最初に紹介した藤井氏と同様に、世の中に流通しているデータの解釈、その嘘を暴きます。たとえば、「国の借金」という言葉遣い。彼によればそこでいう「国」は単なる中央政府のことにすぎず、「国」という言葉をつかうのならば企業、民間あわせた借金を示さなければ正しい言葉遣いとはいえないといいます。まさしくその通り。そして「国の」とした場合の日本国の借金などなく、逆に250兆円近い、黒字があり世界一の金持ちなのだと。

そして、国債発行というかたちでまかなわれる中央政府の借金は、そのまま国内の金融機関やら個人の資産となる、つまりは形をかえるにすぎないといいます。彼も積極財政によるデフレ脱却を主張します。

三橋氏の著作はかなりありますが、あと2,3冊読んでみようとは思いません。僕には好きになれない文章だから・・・。決して内容のことではありません。

今日はこれまで。

2011年10月16日日曜日

果たして真意は那辺にありや?その3

今日は、13日の日経「経済教室」の「TPP参加の意義(下)」戸堂康之氏(東大教授)によって書かれた
論説をとりあげます。

結論から言うと、氏の論説は何の価値もなく、TPP参加の意義を無理やり作り出すために相当苦労したのだなとすら勘ぐってしまう。もう情けないの一言。こういう論説を撒き散らすのは害悪だ。

氏のいうポイントは3つ。

・輸出によって企業の生産性や効率性は上昇
・世界で戦えるのに国内にとどまる企業多い
・日本の農産物は高品質で輸入品に対抗可能

まず、「生産性」「効率性」の話。

企業は「金儲け」をするたに、海外市場に進出するのであって、「生産性」やら「効率性」やらを上げるためにそれをするのではない。そんなものは海外進出の結果であって、ましてやそれが企業の目標になるのか?したがって、海外進出が成功か否かを図るは、あくまでも利益が中心となるべきだと思う。生産性、効率性を追い求めるのがいかに「儲け」を阻害しているかは「ザ・ゴール」で明らかだ!

ついで2番目。

氏は、世界で戦えるのに国内にとどまる企業を「臥龍企業」と名づけ、いくつかの事例を紹介している。もちろん、そういう企業はたくさん世の中にあると存在していると僕も思う。ただ、そういう企業に対して僕がまず思うのは「円高で大変だな」ということ。もし、海外市場のために新たな投資でもしていようものなら、償却が大変だろうと心配する。氏はそのことについては一切触れない。

それに、そういう国内の企業が海外へ積極的に出て行きたいのなら、別にTPPなぞいらないのではないか?関税で多少有利になったとしても、為替リスクでそれは相殺されてしまうと思う。むやみやたらに海外、海外というのは無責任だろう。

氏は、こういうことを言う。

臥龍企業が目覚めて国際化することは、彼ら自身の国内生産や雇用を増やすばかりではなく、彼が海外で得た日本国内の他の企業にも伝わることで、日本経済全体の活性化にもつながる。

だから、それを後押しするためにEPA(経済連携協定)が必要であるというのだ(TPPはEPAの過激な形)。笑ってしまうのは、海外から得られた知識が他の企業に伝わる云々のところ。これは要するに企業ノウハウの公開ということで、こんなことがありえるのか?自社の優位性を揺るがすことをするわけがない!もう少しまともな作文を書けと言いたいわ。

そしてやはりこう言うのだ。

EPAの中でも、米国をはじめ環太平洋経済連携協定(TPP)は日本経済にとって特に重要だ。理由の一つは貿易拡大効果が大きいことだ。

として、その後に内閣府や経産省の試算した数字をそのまま挙げている。その検証もせずに・・・。何度もいうが、TPPに参加したって日本の輸出は増えない。参加国をみればわかるではないか。それにこの円高・・・。

しかし、それ以上に重要なのはTPPによる新しい知恵や技術の創出効果である。先進国である米国、オーストラリア、シンガポールなどが参加する予定のTPPでは、特にこれが顕著であるはずだ。実際、専修大学の伊藤恵子准教授の研究によれば。先進国向けの輸出を開始した企業は生産性を向上させるが、アジア向けの輸出についてはそのような効果はない。

これなど、何を言っているのかわからない。TPPによる知恵や技術の創出効果とは一体何を指しているのか、単なる願望ではないのか?またおかしなことに、日本とシンガポールは既にEPAを結んでいるし、この輸出額がGDPを上回っている特異な通商国家に今以上の何を輸出しようとしているのか示してもらいたい。また、TPP参加国の半数以上は農業国。国内の市場ははっきり言って非常に小さい。そんな国には輸出などできないでしょ。さらにいえば、それらの国に輸出したって生産性は向上しないらしい・・・。アジア=先進国ではないという定義だろうから。しかし、生産性なんぞ二の次だろう。そんな指標を持ち出すことがよくわからない。

最後は、日本の農産品は高品質云々であるが、これは氏の願望だろう。希望的観測に過ぎない。それも何のデータもなしにこう書いている。床屋政談ですな、まるで。

氏は、「臥龍企業」があるように必ず「臥龍農家」があるはずで、きっと世界に打って出る農家も現れるはずだというのだが、僕もその可能性は否定しない。ただ、それとTPPは何の関係もない。コメの輸入量が多い国はフィリピン、ナイジェリア、イラン、イラク、サウジアラビア、マレーシア、EUがあげられるが、この中でTPP参加国はマレーシアのみ。マレーシアが日本の高品質で高価格なコメを買ってくれるとは到底思えない・・・。たとえ、関税が0だとしても。

おそらく、氏は近年のバブル経済で富裕層が多くでてきた中国を想定して書いたのかもしれないが、中国は参加国ではないし、しかもいつはじけてもおかしくない中国の富裕層をターゲットとするのは、あまりにもリスキーであると僕は思う。それに、長いスパンを必要とする農業の投資先としては不適当だろう・・・。

そもそも、仮にも経済学の専門家であるならば、日本国内の高価格なブランド米が国内で消費できるよう日本国民の所得を上げることを考えるのが先ではないのか?

いやはや、あまりにもお粗末な記事でほんとにびっくりです。日経もこんなので「だからTPPは参加しろ」というのだから、お里が知れるというもの。


参考にした書籍は次回アップします。

今日はこれまで。









2011年10月15日土曜日

果たして真意は那辺にありや?その2

今日は、昨日の続きつまり日経「経済教室」記事のでたらめさを書こうと思ったのだが、13日に韓国とアメリカのFTAが正式に決まったという記事が出たので、それについてちょっと書こうと思う。

察しのつくとおり、米韓FTAの発効に伴い日本の企業は韓国勢に対してますます劣勢になるから、はやくTPPに参加しろということらしい記事なのだが・・・。

韓国と日本ではその国情が全く異なるのに、その違いをきちんと知らせることもなくただただ危機感だけを煽るというのは、一体どういう了見なのか?

ちなみに、ソースは13日の読売新聞夕刊。副の見出しにこうある。

日本の輸出産業に逆風

基礎となる数字、対GDP輸出額比率についてだが、(財)国際貿易投資研究所 国際比較統計によると、日本のそれは2009年で11.46%、韓国のそれは43.44%である。ちなみにアメリカは7.48%でかなり低い。この数字でわかることは、日本は輸出大国ではないということだ。

このデータを見る限り、そのことは一目瞭然なのだが、どうも日本人は

日本は少資源国だから、海外から原材料を輸入してそれを加工して外国に売らないとだめ。そのために外貨を稼がないといけない。輸出は最重要。

という子供のころに習ったことが刷り込みとして事実を見る目を曇らせているのではないかと思っている。まさにイメージ先行・・・。イメージ先行といえば、小学生の頃「狭い日本 そんなに急いでどこへ行く」という交通標語があった。日本は狭い国土だと思っているのは日本人だけで、世界には日本より狭い国土面積の国はたくさんある。そんなたぐいのものかも知れない。

そういう刷り込みがあるものだから、輸出産業の花形である自動車、例えばトヨタとか日産とか、そういう大企業の業績がそのまま日本の経済にストレートに影響を与えると思ってしまっている。そんな気がする。たかだか1割強の比率である。

さて、韓国は輸出をしなければ国の成長を実現できない国だという事実。一方の日本はそれとは全く異なる。その国情の差を正確に把握しなければ比較などできない。一般大衆はいいとして、新聞こそそういうことを知らしめなければならないだろう。

副題にあるように「輸出産業に逆風」とあれば、刷り込みされたひとたちは「すわ一大事!」と思ってしまうのではないだろうか。ミスリードもきわまれりだ。

米韓FTA発効後は、韓国製自動車(トラック以外)が米国で売られる場合にかかる関税2.5%が0になる。一方日本製は価格に2.5%が上乗せされるため、価格競争力で不利になるのだという。

ちなみに、僕もつい最近知ったのだが、日本における輸入車の関税は1978年に0になっている。自動車に関しては世界で最も開かれた市場らしい。これには驚いた。ということは、おそらく日本人は輸入自動車を不当に高く買わされているのかもしれない。とはいえ、それが海外メーカーのブランド戦術ならば成功事例。

と、ここまで書いて気づいたが、日本の道路交通法の規定がまさしくアメリカの言っている「非関税障壁」なのかも・・・。ウインカーの色とか細かく規定があるからね。それにあわせて改造したら、やはり高くなるのかな?関税0でも。


さて、記事に戻る。

新聞は大事なことをまたも伝えていない。アメリカで売られる韓国製自動車の55%は現地生産なので、関税などそもそも関係ないから、それで価格競争力で有利になるというのはストレートにはつながらない。また日本車にいたっては、全体の約6割が現地生産だし、ホンダにいたっては8割が現地生産なのだ。したがって、関税の有無はあまり関係がない。

輸出品のもうひとつの花形である家電品は、さらに現地生産の比率が高いのではないか?これは調べていない。

韓国経済は確かに最近は元気がいい(ように見える)。日本の家電メーカーが韓国勢にやられっぱなしだし、韓流ドラマ、韓流タレントを日本のテレビで見ない日はないほど・・・。

しかし、その元気の源はウォン安にある。だから韓国製品は世界を席捲しているのだといえる。これは関税とは全く関係ないし、そのおかげで輸出産業は恩恵を受け、逆に輸入品は高騰している。Webで閲覧できる韓国の「聯合ニュース」によれば、急激なウォン安によって輸入食品が高騰して、何でもマクドナルドの韓国の時給(日本円で320円)では、バナナ一房も買えないのだとか。

それが普通の姿だろうか?

おそらく、韓国国内での大騒動、暴動へと簡単にエスカレートしそうなそれは、FTAの正式な発効後かも知れない。5年以内に95%の関税が撤廃されるというし・・・。重ねていうが、韓国は輸出を伸ばさなければ生きていけない国。その痛みも受けざるを得ないのかも知れない。

ただ、日本は違う。その違いを正確に知ることが必要だ。

今日はこれまで。



2011年10月14日金曜日

果たして真意は那辺にありや?その1

いよいよTPP交渉参加に向けての動きがきな臭くなってきました。つい2,3日前には野田首相が参加へ向けた地ならしを行うよう指示を出したとかという記事がありました。

この問題での僕の大きな問題は、以前から書いていますが日本の全新聞が賛成していること。これはちょっと異常な状況だと思うし、ある意味で恐ろしいことであると思っています。

ちなみに、アマゾンで「TPP」と検索すると、出てくる本は皆反対派の本で、賛成派の本は一冊もないんです。マスコミはそろって賛成なのに、このいびつさは一体どういうことでしょう。

読売も日経も、最近になってようやく「医療」「労働」「政府調達」などの交渉もあることを書き始めましたが、「交渉に参加しなければその中身もわからない」から「参加しろ」とかいう始末。何があってもその結論を変えようとはしません。

いやはや、まったくもってわからない。

日経は、12日、13日と「経済教室」の紙面で「TPP参加の意義」を載せています。一人は木村福成という国際貿易論が専門の慶応の教授、もう一人は戸堂康之という国際経済学、経済発展論が専門の東大の教授が書いています。

素人の僕が読んでも噴飯物です。大学教授は馬鹿でも務まることの見本かも知れません。空疎な言葉のオンパレードです。

今日は、最初の一人木村福成氏の論説のおかしさを指摘します。

記事にはポイントとして次の3つが書かれています。

・日本は自由貿易体制の維持に責任を果たせ
・FTAで途上国より自由化度低いのは問題
・不参加ならば東アジア経済統合の質下げる

まず最初のポイントですが、氏は自由貿易体制は一種の国際公共財なのだとしています。これはそうなのかも知れません。ただ、その維持の責任を果たせということは、氏の中で「いまそれは崩壊の危機に瀕している」という思い込みがあるのでしょう。しかし、そんな自由貿易体制が崩壊の危機だとは僕は寡聞にして知らない。 さらに、氏のいう自由貿易体制は関税0がその定義で、関税があっては自由貿易とは言わないのでしょうか?自由貿易の恩恵で日本は戦後復興したのだから、その恩恵を広く世界に与えるべきだというのは分かりますが、自由貿易とはいいつつも保護的な関税品目があるのが当然の世界でしょうが!一体、この人は何を言っているのだか・・・。

ちなみに日本が果たす国際責務は、世界貿易会議の報告書に「アメリカにかわって世界経済の牽引役になること」とあります。責務というか、期待感ですね。そうです。もっと日本の内需を増やせとその報告書は言っているのです。

次のポイントですが、僕にはこの何が問題なのかが理解できない。日本・ASEAN経済連携協定の貿易自由化度という表を載せているのですが、関税率が0となる品目数が日本は少ないということを問題だとしているらしいです。先進国は途上国に対して度量を示せと・・・。確かにそうなのかも知れませんが、日本はASEAN諸国に対しては多額の政府開発援助を与えてきているし、一方的に彼らを収奪・搾取しているわけではない。もっと多面的にみる必要があるだろう。コメの輸出国タイとの交渉では、タイ国内への農業技術の提供や、貧困対策などを日本が援助することの引き換えに、タイのコメの自由化要望を取り下げさせたという経緯もある。こういう、交渉の結果としてその数字になっているわけであって、ただ自由化度が少ないということだけで批判の対象になるのだろうか?

さらに、この人は最近のFTAは関税0が98~100%だという世界の潮流だといって、「関税」という国境措置ではなく、国内補助金への切り替えが必要だといっているから驚く。ということは、今よりも補助金漬けにしろということなのか?


最後のポイントについては、まさしく噴飯ものだ。氏は「21世紀型地域主義」という言葉を使い、その構築への貢献も日本が担う国際的責務だというのだが、果たしてそれは何を意味し、何をするものなのかという説明がないまま、その言葉を使っているのはおかしくないか?先ずは氏のいうそれがいったい何なのかを説明するのが筋だろう。これではまるで民主党政権のキャッチフレーズと同じではないか・・・。

氏はこんなことも言う。

世界貿易機関(WTO)がグローバリゼーションに対応する政策の拡張に失敗する中で、新たな国際経済秩序の構築の尖兵は柔軟性に富む地域主義となってきた

これもとってつけたようなもの。WTO加盟は150カ国。そんな中で加盟国共通のルールを決めることは困難だ。原則賛成、各論反対はどこの世界にもあることだ。だからこそ、各論だけを決めようということで、2国間、または地域間で交渉するようになっただけで、それは極めて普通のこと。国際経済秩序の構築とか、そんな大それたものではないと思うが・・・。150カ国では一致は無理だが、2国間あるいは10数カ国とかならまとめられるだろうということに過ぎない。

どうです?最初に言いましたが、素人の僕にですらこれだけの指摘ができる。

最後に、氏はこう言うのです。

世界共通後である経済学の論理に耳を傾けず、国内政治の問題を自ら解決できず、国際的責務を果たさずにう内にこもる国、他国の冷笑を浴びるような国になってはいけない。

僕からすれば、飢えた大男の前に「鴨がねぎを背負って前にでる」(中野剛志の言葉)ようなTPPに参加すること、そのものが「冷笑」をあびることそのものです。

「国益を考えずにアメリカの言いなりになる国」。これはTPP参加国のうちアメリカ以外の国の冷笑。

一方のアメリカは「またもこんな簡単な餌に食いついてきた・・・」という冷笑です。

氏の言う「経済学の論理」でいえば、この国の状況を何とかしようと考えるとき、まずはデフレからの脱却が急務であり、この10年以上続くデフレの状況下で、何をどう考えれば「自由貿易」などというますますデフレを加速させるような政策に賛成するのか?それこそ経済学の論理に反してはいないか?


今日はこれまで。

2011年10月6日木曜日

哀悼

スティーブ・ジョブズが亡くなった。

僕自身が感じているこの喪失感とも形容できるような感情はいかなる理由か?一経営者が亡くなったに過ぎないのに・・・。

以前ここで書いた。初めてマックを買って触った時の感動。そしてすぐに、その裏でそれを作り出した人間をすぐに考えたこと。それが彼だったわけで、何とも言いようがない。まだ56歳というからな。

彼の作り出した「モノ」によって、一体世界のどれだけの人が恩恵を受けたのか?想像もつかない。

ホントに残念。ただそれに尽きる。筆も進まん。

今日はこれまで。


2011年10月4日火曜日

市場は万能か?

昨日(10月3日)の日経社説には絶望した。決して大げさな表現ではなく、世の中のほとんどの経営者が読む、つまりは責任ある人々が読むであろう新聞としてこの程度のレベルかと絶望したのである。

読み返したくもないので引用はしないが、要するに日本が成長するために戦略が必要で、そのためには規制緩和が急務だというのである。そこには市場こそが万能であるという妙な思い込みがある。

この論調、数年前の小泉・竹中の叫んだ「構造改革」と同じであることに気づく。その結果日本の社会がどうなったのか忘れているのだろうか?あの結果が今の社会であり、今の社会を非とするならば、あの「構造改革」なるものが失敗だったと認めるざるを得ないということになるのだが、おそらく彼らは「あれは中途半端だった」というのだろう。

想起してほしいのは、日本の自殺者が3万人を超えるようになったのはあの絶叫とともにであり、ワーキングプアだとか、下流社会とかいう言葉が出てきたのも同時期である。

同社説は、お決まりの「日本農業の大規模集約化」を言う。要するに効率をあげろというのだ。そして国内市場だけでなく積極的に海外市場を取り込むべきだというのだ。彼らのいう海外というのは、「成長著しいアジア市場」が念頭にある。だからTPPに参加しろと言ってるからね。しかし、TPP参加国のうちアジアと呼べるのはシンガポール・ベトナム・ブルネイ・インドネシアくらい・・・。日本の高い
農産物を買ってくれる国はないとみるのが自然だ。

仮に、農業が輸出産業として大成したとしよう。そしてそれが日本経済全体の底上げにつながるとしよう。そうなればますます円高は進行するのではないか?自家撞着だ。

こんなことも言ってたなぁ。「混合診療も認めろ」と・・・。保険適用薬品と、適用外薬品を消費者(つまりは患者)に選択できるようにするべきだと。そううすれば医療薬品分野での技術革新が進むと言っている。

これは要するに、「貧乏人は死ね」ということだね、極端にいえば。適用外薬品というのは、海外で開発されて海外で使用されている薬品のこと。なぜ日本が認可しないがわからないけど、適用外だから値段も高い。それを使えるのは高所得者に限られるでしょ。

ちなみに、TPPの交渉項目にはこの分野(医療)も入っている。参加したらこのようになる。株式会社の病院が出来て、医療過失裁判のリスクの高い診療科目(よくわからんけど、産婦人科とかかな?)は敬遠されるだろう。それすらも市場原理にまかせていいのだろうか?


よく彼らは「グローバル化」の波に乗り遅れるな、それが世界の潮流だという。不思議なのは、乗るのはいいが、問題はその乗り方。もっといえば、グローバル化などというのはアメリカ化と同義語だ。抵抗したってよいではないか。この国にはこの国の国柄がある。

ホントに日経にしろ、読売にしろ、新聞のいうアホな論調にだまされないで欲しい。ほんの少しの想像力を働かせてくれればいいのだ。それには普通名詞でなく、固有名詞で考えればいい。

今日はこれまで。