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2011年10月15日土曜日

果たして真意は那辺にありや?その2

今日は、昨日の続きつまり日経「経済教室」記事のでたらめさを書こうと思ったのだが、13日に韓国とアメリカのFTAが正式に決まったという記事が出たので、それについてちょっと書こうと思う。

察しのつくとおり、米韓FTAの発効に伴い日本の企業は韓国勢に対してますます劣勢になるから、はやくTPPに参加しろということらしい記事なのだが・・・。

韓国と日本ではその国情が全く異なるのに、その違いをきちんと知らせることもなくただただ危機感だけを煽るというのは、一体どういう了見なのか?

ちなみに、ソースは13日の読売新聞夕刊。副の見出しにこうある。

日本の輸出産業に逆風

基礎となる数字、対GDP輸出額比率についてだが、(財)国際貿易投資研究所 国際比較統計によると、日本のそれは2009年で11.46%、韓国のそれは43.44%である。ちなみにアメリカは7.48%でかなり低い。この数字でわかることは、日本は輸出大国ではないということだ。

このデータを見る限り、そのことは一目瞭然なのだが、どうも日本人は

日本は少資源国だから、海外から原材料を輸入してそれを加工して外国に売らないとだめ。そのために外貨を稼がないといけない。輸出は最重要。

という子供のころに習ったことが刷り込みとして事実を見る目を曇らせているのではないかと思っている。まさにイメージ先行・・・。イメージ先行といえば、小学生の頃「狭い日本 そんなに急いでどこへ行く」という交通標語があった。日本は狭い国土だと思っているのは日本人だけで、世界には日本より狭い国土面積の国はたくさんある。そんなたぐいのものかも知れない。

そういう刷り込みがあるものだから、輸出産業の花形である自動車、例えばトヨタとか日産とか、そういう大企業の業績がそのまま日本の経済にストレートに影響を与えると思ってしまっている。そんな気がする。たかだか1割強の比率である。

さて、韓国は輸出をしなければ国の成長を実現できない国だという事実。一方の日本はそれとは全く異なる。その国情の差を正確に把握しなければ比較などできない。一般大衆はいいとして、新聞こそそういうことを知らしめなければならないだろう。

副題にあるように「輸出産業に逆風」とあれば、刷り込みされたひとたちは「すわ一大事!」と思ってしまうのではないだろうか。ミスリードもきわまれりだ。

米韓FTA発効後は、韓国製自動車(トラック以外)が米国で売られる場合にかかる関税2.5%が0になる。一方日本製は価格に2.5%が上乗せされるため、価格競争力で不利になるのだという。

ちなみに、僕もつい最近知ったのだが、日本における輸入車の関税は1978年に0になっている。自動車に関しては世界で最も開かれた市場らしい。これには驚いた。ということは、おそらく日本人は輸入自動車を不当に高く買わされているのかもしれない。とはいえ、それが海外メーカーのブランド戦術ならば成功事例。

と、ここまで書いて気づいたが、日本の道路交通法の規定がまさしくアメリカの言っている「非関税障壁」なのかも・・・。ウインカーの色とか細かく規定があるからね。それにあわせて改造したら、やはり高くなるのかな?関税0でも。


さて、記事に戻る。

新聞は大事なことをまたも伝えていない。アメリカで売られる韓国製自動車の55%は現地生産なので、関税などそもそも関係ないから、それで価格競争力で有利になるというのはストレートにはつながらない。また日本車にいたっては、全体の約6割が現地生産だし、ホンダにいたっては8割が現地生産なのだ。したがって、関税の有無はあまり関係がない。

輸出品のもうひとつの花形である家電品は、さらに現地生産の比率が高いのではないか?これは調べていない。

韓国経済は確かに最近は元気がいい(ように見える)。日本の家電メーカーが韓国勢にやられっぱなしだし、韓流ドラマ、韓流タレントを日本のテレビで見ない日はないほど・・・。

しかし、その元気の源はウォン安にある。だから韓国製品は世界を席捲しているのだといえる。これは関税とは全く関係ないし、そのおかげで輸出産業は恩恵を受け、逆に輸入品は高騰している。Webで閲覧できる韓国の「聯合ニュース」によれば、急激なウォン安によって輸入食品が高騰して、何でもマクドナルドの韓国の時給(日本円で320円)では、バナナ一房も買えないのだとか。

それが普通の姿だろうか?

おそらく、韓国国内での大騒動、暴動へと簡単にエスカレートしそうなそれは、FTAの正式な発効後かも知れない。5年以内に95%の関税が撤廃されるというし・・・。重ねていうが、韓国は輸出を伸ばさなければ生きていけない国。その痛みも受けざるを得ないのかも知れない。

ただ、日本は違う。その違いを正確に知ることが必要だ。

今日はこれまで。



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