人気の投稿

2011年11月4日金曜日

たまに新聞を開いてみれば・・・

やはり不愉快にならざるを得ない・・・。

テレビのニュースもそうです。例えばギリシャの財政危機問題。決まって言われるのは日本は対GDPでみた「国」の借金がギリシャよりも大きいと、危機感を煽るような言い方です。「国」と括弧でくくったのは、三橋貴明が言うように正確には「政府」の借金であって「国」のではないということを至極妥当なものだと思うから・・・。

大体、借金額の多寡だけを論じるのは大きな間違いだということに気がつかないのだろうか?資産1億円の人の2億円の借金と、資産100万円の人の1億円の借金ではどちらがまずい状況かはすぐにわかる。それは借金額の多寡ではない。しかるに、報道も、さらには国会議員ですら額の多寡だけを問題にして危機感を煽っている。これは正しい姿なのか?

本日(4日)、驚いたのは日経の5面。

内閣府の発表した2.7兆円の効果。TPP参加した場合の数字です。同記事にはこうあります。

中立的な立場から内閣府が提示した試算は、「10年後の実質GDPは2.7兆押円し上げられる」。単純計算した累積押し上げ額は13.5兆円。年1兆3,500億円の効果となる。

僕にはこの計算の意味がわからない。10年後に2.7兆円となるのに、それに10をかけるのか?正しくは10年後に2.7兆円になるから、単純計算して年に2,700億円の押し上げ効果ではないのか?

さらに、相変わらず「試算には単純な関税撤廃効果だけで、アジアの今後の成長を織り込んでいない」とか書いている始末。だから、どこの「アジア」なのか教えてくれ!

日経だけでなく、読売もそうなのだが、TPPへの参加を国家の安全保障の観点から説いている記事が多い。

その主張のおかしなところは、そういう主張と同じ口で「交渉が不利になったら離脱すればよい」とかいってること。とにかく「安全保障」という観点があるのなら、離脱などおかしいではないか?

歴史を知らぬ、戦史を知らぬ人に教えよう。経済の結びつきなど戦争防止には何の役にも立たないのだと・・・。

第一次大戦時の各国の経済的結びつきは今よりもずっと強い。
1913年の主要国のGDPに占める輸出の割合は以下の通り。()内は1993年の値。

英:33.9(19.4)
仏:13.8(16.5)
独:19.2(23.1)
ベルギー:57.1(52.9)
伊:12.4(18.5)
日:14.2(8.4)
米:7.2(7.2)
豪:42.2(12.3)

出所「戦場の未来」ジョージ・フリードマン&メレディス・フリードマン


世界は二度の大戦を経てグローバル化したのではなく、その前からそうだったのだ。もちろん、金融・投資の面では当時は今とは比較できないが、あくまでも製品輸出だけでも、今と変わらぬほど密接なつながりがあったのだ。

この歴史を鏡とするなら、たんなる経済上の取り決めが安全保障にも極めて重要だという主張には留保がつけられるべきだと僕は思う。


そういえば、伊藤元重という東大教授がこんなことをTPP参加推進者の集会で述べていたのをテレビでみて唖然とした。いわく「国を閉ざして繁栄した国は私の知る限りない」と・・・。

自国民の食料のほとんどを輸入に頼っているこの国が「閉ざ」されているなどとはいえないだろうというのが、第1点の僕の疑問。第2の疑問は江戸の鎖国政策は270年にも及ぶ平和な期間を生み出し、世界にも類を見ない「非支配層が文化を生み出した」という歴史があるではないか。それは繁栄とはいわないのか?ということ。いい加減に江戸時代は暗黒だったという虚妄から目を覚ませといいたい。

僕は、この伊藤元重という人の本を数冊持っていたので、非常にがっかりしました。

今日はこれまで。


0 件のコメント:

コメントを投稿