三分の侠気と一点の素心 菜根譚から名前をとりました。 リベラルアーツ(一般教養)をテーマに月に一度、有志が集まり 勉強会&飲み会を行っています。 現在メンバー30人。常時メンバー募集中です。コメント歓迎します。
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2010年7月20日火曜日
市場対国家
梅雨明けしたとたんに猛暑です。
この本、1999年に読んだ本です。既に11年前ですが、初めて読み返しました。名著です。買った当初、自民党総裁選に小渕、梶山、小泉の3人が立候補しました。田中真紀子が「凡人、軍人、変人」と彼ら3人を言い表した総裁選です。僕は、田中真紀子が大嫌いですが、彼女の言葉のセンスには舌を巻きます・・・。
さて、この時の総裁選に対し、新聞には「市場は誰を認めるか」というような記事が出ていたのを明確に覚えています。「市場」が総理を信任するなど、これまでの総裁選では何の考慮もなかったからです。で、買って読んだのがこの本です。
今は文庫にもなっているので、是非読んでください。非常に面白い本です。
印象的だったのが、第二次大戦後の英国の状況です。英国は、1954年まで食料の配給制度があり、キャンディですら1953年まで配給制度の対象になっていたというのです。これには驚きました。戦勝国ですからね、英国は・・・・。
大日本帝国の戦争目的の一つに「大東亜共栄圏」の建設がありました。これは、その基本思想はかつてのEC(ヨーロッパ共同体)と同じです。そのためにアジアから欧米諸国の植民地を一掃したわけです(もちろん、帝国にとっては資源目当てでした)。帝国は敗戦の憂き目に遭いますが、帝国が戦争をしたおかげで、植民地が独立できたことも事実です。そして、その結果が英国の没落・・・。果たして真の勝者は?と考えてしまいます。
市場は、競争によって成り立ちます。小泉改革と呼ばれたかつての規制緩和の大合唱は未だ記憶に新しいですが、竹中平蔵とともにその旗振り役を務めた中谷巌は、その大合唱の果ての日本の姿に、「自分は間違っていた」と反省の意を表明し、以下の本を著しました。
センセーショナルな題名ですが、資本主義を市場万能主義と読み変えればいいのではないでしょうか。ちなみにこの本は読んでませんが、彼の反省の意はいろいろな雑誌で取り上げられていたので、大方内容は推測できます。
計画経済がうまくいくわけがないのは、最早周知の事実。あのソビエトの壮大な実験の失敗は皆がわかっているはずですし、最大の共産主義国家中国の経済的発展は、その教義に従ったわけではなく、本来不倶戴天の敵であるはずの市場経済によるものです。資本主義=市場経済が自壊したのではなく、それを万能の如く崇めたのが間違いだったです。
経済の語源は「経世済民」。この言葉をもう一度考えるべきでしょうね。
僕は、モラルなくして経済なしと考えています。モラル=道徳がその根幹にあってしかるべきだと思います。これは市場での敗者のためにセーフティネットを整備するというテクニックとは別次元の問題だと思います。残念ながら、それを筋道立てて説明する見識は僕には未だありませんが・・・。漠然とそんな風に思っているのです。
管政権は、成長分野に集中的に投資していくと、自らの政権構想で公言してますが、その「成長分野」はどこにあるのか、官僚や政治家ならそれがわかるとでも思っているのでしょうか?僕にはどうもひっかかる言葉づかいであります。
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