人気の投稿

2010年7月21日水曜日

経済道徳合一説

 不定期ですが、日経朝刊に「200年企業」という記事の連載があります。あいまいな知識ですが、日本は創業100~150年超の企業が世界一多いとか・・・。本日(20日)のそれの冒頭は次のように始まっています。


『長寿企業の経営哲学や家訓の共通項を調べると、勤勉や創意工夫、倹約と並んで社会貢献・地域貢献を重視していることがわかる』


これを読んで思い出したのが渋沢栄一です。日本における「近代資本主義の父」ともよばれ、幾多の企業を輩出してきた渋沢栄一は、「経済道徳合一説」というものを唱えました。「論語と算盤」という本の中に出ています。
彼は、富を独占するのではなく、国を豊かにするために富を共有すべしと広く社会に還元することを説いたわけです。「226」執筆時にいろいろ調べましたが、かつてのこの国は超格差社会でした。貧しい者はとことん貧乏で、富める者は考えられないくらいに大金持ちでした。ただ、その頃の大金持ちの中で少なくない者は、優秀だが貧乏で進学できないこどもに学費を援助してやる、または広く美術工芸品等を集めて、今に残る美術館を作ったりと、富める者の果たすべき義務を果たしていました。米国では、今でも個人の名を冠した民間の奨学金制度が多く、貧しい家庭に育つ子供の学問への道は篤志家によって広く開かれています。


翻ってこの国はどうでしょう?かつてと違い、大金持ちが生まれにくい社会にはなっていますが、「篤志家」なる言葉は死語になりつつあるような気がします。

0 件のコメント:

コメントを投稿