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2011年7月12日火曜日

気候

和辻哲郎に「風土」という名著がありますが、その副題は「その人間学的考察」とあります。昔読んだ記憶がありますが、内容はよく覚えていません。おそらくスーツケースの中の蔵書にあると思います。要するに、気候を含めた風土というものが、人間およびその社会に与える影響の考察ですね。モンスーン型、砂漠型、それと牧場型の3つに分けた類型だったように思います。

さて、先日最近の日本の猛暑についてチラッと書いたのですが、日本列島に人が住み着いた頃から今のような気候なら、ずいぶんと日本人というものも変わっていたのかも知れません。

津田左右吉によると、

さて我々の祖先の民族生活が甚だ古いにも拘らず、支那人に接触するまでは其の文化が全体としてあまり発達していはゐなかったらしい。文化の発達する原因は茲で研究するにはあまりに大問題であるが、少なくとも一面の事実として自然なり人事なり自己よりも強い勢力に対して自己の生活を拡大し発展しようとするところに其の一条件があることは疑ひがあるまい。ところが、我々の祖先は個人としても民族としても、其の生活に於いて甚だしき欠乏と苦痛とを感じないほど都合のよい土地に住んでゐたから、其の欠乏を補ひ其の苦痛を除いて生活の内容を豊富にしようといふ努力が薄く、従って自分から自分の文化を開発してゆく力が弱かった。

と述べています(「文学に現はれたる我が国民思想の研究(Ⅰ)」)。

この気候と島国という条件が日本人を形作ったというわけですが、最近の亜熱帯のような気候であったら、おそらく日本人および日本も今とはちがった歴史をもっていたことでしょうね。それほど最近の暑さはすさまじい・・・。

今日はこれまで。

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