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2010年9月27日月曜日

組織能力とは 番外編(対中問題)

 「組織能力とは」と題して、江戸時代の様々な幕府の改革事例をこれまでに5回に渡って書いてきました。一向に本題に入れずにいるのですが、尖閣諸島をめぐる先週金曜日の事件を新聞で読むにつけ、ますますその思いを強くしています。今日は、本題に対しての僕の結論めいたものをここで書いてしまおうと思います。


 「組織の能力などない」というのが僕の結論です。結局は「人」の問題だということです。極めて簡単なことです。「組織」が優れているというのは、とどのつまりその組織に優れた人間がいるかどうかだということです。ところが、そういった属人的な問題は、合理的に説明することができないため、「組織」の問題として扱うことにしてしまっていると僕は思うのです。組織というものはニュートラルなものです。能力の多寡があるわけがない。もちろん、組織にも「良し悪し」はあります。これまで説明してきた江戸時代の門閥制度に縛られた組織など「悪い」見本でしょう。では「良い」組織とは?となると、例えば「ドイツ参謀本部」とか、GE社とかいろいろ挙げられますが、「良い」組織が「良い」人を生むわけではなく、「良い」人がいるからこそ「良い」組織となるのではないでしょうか。


 江戸時代、3代将軍家光の頃までは創業者である家康の威光で国は治められていました。家光死後30年後に将軍となったのが5代綱吉です。以降、12代将軍家慶まで、江戸幕府は改革、改革、改革の連続です。そして代家慶の時代になると、今までの国内問題だけでなく、そこに「国外」という新たな要素が加えられるに及んで、幕府の命脈が尽きることになるのです。「人」の不在です。「人」といっても「指導者」の不在ということです。それを支える優秀な事務方は沢山いました。明治新政府の役人は、その少なくない人数(もしかしたら多数?)が旧幕臣によって占められています。特に大蔵、外務に関しては、薩長土肥の人間では到底勤まらなかったでしょう。


 


 


 「日米安保第5条が適用される」


こう明言した米国政府は、「だから一歩も退くな」というメッセージを日本に贈ったわけではなく、「だから、今回は退け」というメッセージだったのですね。僕の想像とは全く逆でした。米国は日中のごたごたを望んではなく、しかも対中で厄介な問題を今抱えたくない。だから、今回のケースで日本を退かせる代わりに「尖閣諸島への日米安保適用」ということを明言して日本を安心させたのでしょう。


 前原大臣も菅総理もそれに従ってしまったのでしょうね。千載の禍根を残してしまうことを考慮せずに・・・。望んでも仕方のない事ですが、今の政権内部に「人」がいないのです。自民党も同様でしたね。北朝鮮首席の息子が不法入国で捉えられた時、直に国外退去してしまって、拉致被害者帰国への大切なカードを直に自ら手放したのは、当時は自民党の田中真紀子外務大臣でしたからね。


 今回の事件は、組織の問題ではありませんね。間違いなく「人」の問題です。政治が明確に判断すれば良いことです。それを「検察の判断に従った」などと、「政治主導」が聞いて呆れます。たかだか沖縄地検の次席検事をマスコミの矢面に立たせて、恥ずかしくないのでしょうか?卑怯極まりないことです。


 今回の事件では大多数の人々が政府の決定を「弱腰」と非難しているようです。地元である石垣島の怒りは最もですし、そんな状況下にあってなお、警備を続ける海保職員の苦労は相当なものでしょう。ただ、願わくば「政治」というものはは「景気」や「年金」や「消費税」のことだけでなく、やはり「外交」やら「安全保障」やらが重要だということに有権者は気付いて欲しいと思います。


 
 さて、明日は大岡越前が行った流通改革についてご紹介、本題に戻ります。


 今日はこれまで。




 






 

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