人気の投稿

2011年6月4日土曜日

底の浅さ

昔、僕は映画観賞をも趣味として憚らなかった。本数は大したことないが、ハリウッドの大作映画ではなく、どちらかといえば誰も知らないようなマイナーな映画を観ることを趣味としていた。だから僕は映画の話になると、一押しの映画として「グッドモーニング・バビロン」という映画を挙げる。これまでその映画を「あ~知ってる知ってる」と相槌を打ってくれた人は、自身が映画評論の文章を書いている人たった1人のみだった。

僕は日本映画はまず観ない。観ようという気すら起こらない。描かれているものがあまりにも皮相で、日本の社会の「浅さ」が透けてみえるような気がして悲しくなるからだ。僕はそれを「セント・オブ・ウーマン~夢の香り」という映画で思い知らされた。この映画は割と有名だと思うが、アル・パチーノ演じる盲目の退役軍人と、彼の世話をする大学生の物語。

僕はそれを観て、日本は絶対にこのような映画を作ることをできないと思った。「社会」の格が違いすぎ、それに相応する「文化」の層の厚さもアメリカと比べてでさえ日本は比較にならないと感じた。

多くの人は社会という枠の中から飛び出すことはできない。社会というより、「時代」という時間だろう。日本もかつてはこんなに薄っぺらい社会ではなかったからだ。


 三木武吉。

三木 武吉(みき ぶきち、1884年8月15日 - 1956年7月4日)は、日本政治家鳩山一郎の盟友で、自由民主党結党による保守合同を成し遂げた最大の功労者。「ヤジ将軍」「策士」「政界の大狸」などの異名を取った。
(出所:Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E6%9C%A8%E6%AD%A6%E5%90%89


Wikiにも詳しく彼のエピソードが出ているが、僕は有名なエピソードだけを覚えていて、それが果たして誰のことだったかその名前を思い出せなかった。その名前をつきとめようと検索したワードは「妾3人 政治家」で、それに引っ掛かったのが彼であり、Wikiを読んでまさしくこの人だとわかった。詳しくは上記を参照してもらうとして、紹介したかったのは、僕がググった「妾3人」というエピソード。

彼は、日本独立回復後の初めての総選挙の立会演説会で、対立候補から「ある有力候補は妾を4人も抱えている。こんな破廉恥、不道徳な人間に政治家が務まるか!」と名指しはされないものの批判され、彼は自ら答えて曰く

「ある人が妾4人を囲っている有力候補がいると批判されていましたが、その有力候補というのは私であります。」と自ら公言し、次いで「正確を期すためにお話ししますと、4人ではなく5人です」と言い放ったのだ。そして今ではを年老いた妾を老馬にたとえ、

「役に立たなくなったからといって棄てるような不人情は私にはできません。だから今でもかこっております。

といい、会場から拍手喝采を浴びたのだ。

何と剛毅な人物だろう。そしてそれを受け入れた当時の社会にも関心してしまう。今の社会なら当然のごとくマスコミに叩かれ、当選することなどおぼつかないだろう。「女性蔑視」だとして、総スカンをくらうのは目に見えている。そんなことを目くじらたてて言う人間の世界と、「雪国」で描かれた世界では絶望したくなるほどの断絶がある。

おそらく、その断絶がこの国をかくも平板な薄っぺらいものに仕立て上げている。人間はそんなに偉いものでもないし、ましてや男女の愛情など徳義だけで割り切れるものではないことは皆分かっているはず。わかっていても口にせず、あたかも「知らない」「存在しない」とすることが社会の、大人の知恵でもあるのに・・・。まえに大相撲の八百長問題でもここで書いたことだ。

いつもマスコミは政治家を貶める。それが読者の意に添うことだとわかっているからだ。そして決まって「強力なリーダーシップが求められている」と主張するのだが、いざそれを発揮する政治家が出ようものなら、「民の声を聞け」とその足を引っ張る・・・。アホか。「今太閤」「庶民宰相」と、その誕生時にはさんざんにおだてあげた田中角栄を、その最後には「金権体質」とこき下ろしたのは一体誰だ?

幼児のような「いいか悪いか」という二項対立の世界観など、現実の社会では全く意味をなさないことは普通の大人なら当然わきまえていよう。それがなぜマスコミの風潮はそれを無視したようなことをまき散らすのか。そしてワイドショー番組でまじめぶってコメントする芸人。芸人ならたとえば「妾くらいもって何がわるい」くらいはいうべきだろう。なぜ急に良識ある風を装うのだろう?社会のコードをひっくり返して笑いをとるのが芸人だろうが。

何故、こんな薄っぺらい社会になってしまったのだろうか。


政治家の質は、とどのつまりその政治家を生む社会の質に他ならない。冒頭の映画の話と同様、日本の今の社会からは、歴史に名を成す名政治家など生まれっこない。「最低最悪の総理大臣」には多くの人が名を連ねるのだろうが・・・。

最後に書いておく。菅直人をうそつきペテン師と読んだ件の人も、りっぱな嘘つきでありペテン師であるということ。もっというなら、予算の組み替えだけでばらまき予算を確保できるといった民主党こそがその元締めである大ウソつきであるということ。

今日はこれまで。








0 件のコメント:

コメントを投稿