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2010年11月6日土曜日

食糧安全保障

 タイトルの言葉、ご存知ですか?


環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を巡っての国内の議論の中で、その加盟反対派が必ず口にする言葉です。字面だけで、おおよその意味は推測出来るのですが、農水省によるとこういうことらしいです。


 食料は人間の生命の維持に欠くことができないものであるだけでなく、健康で充実した生活の基礎として重要なものです。したがって、国民に対して、食料の安定供給を確保することは、国の基本的な責務です。

 食料の多くを輸入に頼っている日本では、国内外の様々な要因によって食料供給の混乱が生じる可能性があり、食料の安定供給に対する国民の不安も高まっています。しかし、そういった予想できない事態が起こった際にも食料供給が影響を受けずに確保できるように準備しておかなくてはなりません。


 食料安全保障とは、このように予想できない要因によって食料の供給が影響を受けるような場合のために、食料供給を確保するための対策や、その機動的な発動のあり方を検討し、いざというときのために日ごろから準備をしておくことです。

 平成11年7月に公布・施行された「食料・農業・農村基本法」においては、不測時における食料安全保障に関する規定を設け、不測時において国が必要な施策を講ずることを明らかにしています。



出所:農水省HP

 そして、そのもとで平時における取組みとして以下のことを挙げています。

我が国の食料安全保障のためには、平時から食料の安定供給確保のための基本的な対策に取り組んでおくことが必要です。
 具体的には、輸入への依存をさらに高めていくことは、我が国の食料供給構造を不安定にするので、食料自給率の向上を目指して、国内の食料供給力の確保・向上を図ることが重要です。このことにより不測時における対応も行いやすくなります。
 また、消費者や実需者への安定的な供給を確保するため、食料安全保障上重要な農産物を適切に備蓄するとともに食料輸出国との安定的な貿易関係の形成などに努める必要があります。さらに、こうした取組とあわせ、国内外の食料需給に関する情報の収集・分析を行うことも必要です。
出所:農水省HP
 
 要するに、TPPを結ぶと日本の農業は壊滅的な被害を被り、平時から食料の安定供給確保のための基本的な対策」が取り得なくなるということを危惧していると考えられます。

 僕は、この問題に対して知見を持ちませんので、賛成とも反対とも言えません。双方の言い分に納得できることもありますし、できないこともあります。しかし、僕が奇妙に思えるのはその反対派の言うこの「食糧安全保障」というものです。

 多くの農産物を海外からの輸入に頼っている現状で、その輸入が途絶した場合のことを想定しての「食糧安全保障」ですが、それを声高に言い募る人々は、もちろん農水省の役人含めてですが、シーレーン防衛つまり海上通商路の安全保障に対しても積極的な物言いをしなければ筋が通らないのではないでしょうか?つまり、「海軍力を増強しろ」という声です。物事の順番から言って、まず広義の安全保障があり、次いで狭義の食糧安全保障であることは間違いありません。やや乱暴に言えば、命がなくなるかも知れないときに、食べ物の心配をしても仕方ないような気がするのです。僕のあてずっぽうな推量ですが、食糧安全保障を掲げて、自衛隊反対とか言う人結構いるんじゃないでしょうか?

 ちなみに、日本の農産物輸入の3割はアメリカからで、輸入国のほとんどは日本へ敵意を表わしてくるような国ではありません。唯一、中国のみが生鮮食料品輸入で5割近い輸入国になっているのみです。輸入総額は全農産物で5兆円、生鮮食料品の輸入総額は960億円にしか過ぎません。その中の5割ですから、中国との対生鮮食料品取引は微々たるものですね。多くの家庭もそうだと思いますが、わが家でも中国産の野菜は一切買いません。それに、中国からの野菜は国内で代替できるものばかりですから、あまり影響はないとは思います。
 自由化で安い農産物が入って来て日本の農家が大打撃を受けるというのが僕にはあまりピンと来ません。市場で勝負するのは価格だけではないからです。わが家で買う青森産のにんにくは1個で2~300円します。中国産は5個くらい入ったネットで100円です。青森産の高いにんにくは市場から駆逐されずに、高品質できちんと勝負できています(と思います)。

 いずれにしても、これは大局的な見地からの政治判断が必要になりますね。都市部選出の議員に賛成が多く、農村部選出の議員に反対が多いのかなと、容易に想像ができますが、それぞれの言い分を聞くだけでは判断に困ると思います。この問題で国民の100%の合意は得られないでしょう。

 ただ、ひとつ将来的に起こりえるかも知れないのは、各国の囲い込みが起こり一切の食糧輸出をストップするということです。これこそ食糧安保でしょう。もしくはバイオ燃料への転換という原因も考えられます。そうなった時に日本が慌てふためかないようにするためにはやはり国内農業を国策としてきちんと保護しておく必要があるのかなとも思います。

 前述したように僕には結論が出せません。

 今日はこれまで。

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