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2010年11月30日火曜日

技術の伝統について

「技術の伝統について」という大仰なタイトルですが、内容はあまり大したことはないかもしれません。

もう10年程前になるかと思います。

仕事で網走に行きました。その時乗ったタクシーの運転手から聞いた話です。

その運転手さんは、ハンターでもあり「熊」を撃つのだそうです。熊は害獣らしく、殺害すると1頭あたり80万円(だったかな)の収入が道庁からあるらしいです。「熊の胆」は別で高額で売れるとのこと。かなりいい臨時収入になるらしいです。鹿も値段は熊に劣るけれども、やはり1頭あたり20万とかで買い取る業者がいるとのことでした。

熊撃ちの場合は、一人では危険なので必ず数人でチームを組むらしいですね。北海道ですからヒグマで、かなり大きいものもいますから、やはり命がけなのだそうです。

僕は、その使用するライフルに興味があったので、それを尋ねました。熊という巨体を撃つのですから、その使用する弾も相当の大きさです。散弾銃ではありません。

「ライフルは日本製ですか?」
「いや、国産の銃はだめだ」
「じゃあ、どこの国?」
「ずっとチェコスロバキア製だなあ」
「!」

と、まあこんな会話でした。

チェコスロバキアというのは、世界で初めて機関銃を実用化した国なのです。坂の上の雲で秋山好古が馬で挽いた機関銃も、旅順の要塞で突撃して来る日本兵をなぎ倒したロシアの機関銃も、皆チェコスロバキア製のはずです。

「なるほど、技術の伝統はそんなところにも生きているのか」と非常に驚きました。今では二つの国にわかれているので、どちらがその伝統を継いだのか、もしくは双方に息ずいているのかはわかりません。

光学レンズは「ライカ」とか、刃物は「ゾーリンゲン」だとか、今でもブランド力を持つ「技術」は多いですね(ゾーリンゲンは地名ですが)。大口径砲の砲身なんかは「ラインメタル社」というドイツの会社の技術が今でもピカ一らしいですし、自衛隊の戦車の砲身もそうでした。スウェーデンの「サーブ」は、航空機まで作っているメーカーですし、実はここは武器の輸出国でもあります。「カール・グスタフ」というスウェーデン国王の名を冠した歩兵用兵器は、多くの国の軍隊で使われてます。

世界中の特殊部隊、その中には日本のSATやら、海保の特殊部隊も含まれますが、彼らが携帯する小火器はドイツ製「ヘッケラー&コッホ」という会社のものです。この会社は19世紀末に創立されて、第二次大戦までのドイツ国防軍を支えた、モーゼル社の伝統を受け継いだ会社です。ドイツといえば、ルパン三世が持っていた「ワルサーP38」の「ワルサー社」も有名です。ベルギーも「FN社」という世界に冠たる銃器メーカーを持ってます。


日本は実に平和な社会だとつくづく感じます。銃器のメーカーなんかないですからねほとんど。武器輸出が解禁されたとしても、その技術的伝統がありませんから、市場は相手にしないでしょうし・・・。

今日はこれまで。

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