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2011年1月25日火曜日

TPPについて4回目

前にも書きましたが、このトップ頁には週単位のアクセス数トップ3が並びます。ここのところ、「再び食糧安全保障 TPPを巡る日常」が上位にランクインされていて、間違ったことが書いてあるので非常に恥ずかしいのですが、そのままにしてあります。

そこで、僕は日本は「貿易立国である以上」云々という文章を書きました。これは食糧を含めた原材料の輸入が無ければ生きていけないということを表現したまでです。そうしてその背景には、海上交通路の安全を担保しうる海上兵力の保持と、そこに関係する地域の平和の実現に対して積極的に関与すべきであるという僕の考えがあります。


TPPについては、わが家の購読する日経も読売もみな「賛成派」になっている。「反対派は未来に目を向けなければならない」と。どうも新聞はミスリードしてるような気がしてならない。ならば農業関係者らの反対派は、未来に目を向けず、既得権益を守ることに汲々としているような守旧派のイメージとなる。これは正しい見方なのだろうか?

思えば僕等の明治の父祖たちは「関税自主権」を獲得するために、つまりは国の真の独立を勝ち取るために非情な苦労をしてきた。今その不肖の子孫たちがこぞってそれを開け渡そうとしている。何と歴史の不思議なことよ。

世界の食糧価格は高騰を続け、統計を開始してからの20年間で最も高い数値を記録しています。ロシアの干ばつによる小麦の輸出禁止措置を思い起こしてください。食糧供給は天候を相手にせざるを得ない以上、非常に不安定なものです。一方の需要の方は、世界人口は急速な伸びで拡大する一方です。食うや食わずの国が、一斉に普通に「食える」国となったら、需給バランスは崩れる事必定のことのように思います。そうしたら、「野菜は安い国から買えばいい」なんて言っていられなくなる。

と、これは「赤旗」の記事(1月19日 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-01-19/2011011901_02_1.html)の要約です。僕にはこれが間違った意見だとは思えない。

しかも、本日(25日)の日経1面にも、国連食糧農業機関の事務局長が「世界は新たな食糧危機に近づいている」と警鐘をならしたと出ている。とはいえ、この記事は、「補助金や関税障壁による先進国の自国農業保護策が『需要と供給の不均衡を増幅している』とも批判」と、その事務局長の言葉を紹介しているが・・・。

疑り深く言えば、日経は自身の論調の正しさ(TPP賛成)を、この事務局長の口によって言わせたただけで、もしかしたら発言のつまみ食いをしているのかも知れないとまで思ってしまう。本当にこの人の云う通り、先進国がその不均衡を増幅させているのか?仮にそうだとしたら、まず責められるべきはEU諸国であって日本ではない。EUは、域外との自由化についてはどのようなスタンスなのだろうか?もしも、挙げてそれに関与するようであるならば、まさしく日本を含め世界全体は「開国」しなければならなくなるが・・・。

TPPは安易に賛成だとか言っている場合ではないと思うんだけど、天下の大新聞はそうは思っていないことが不思議である。

これまでの経験から、大多数の意見の方が間違っていることの方が多いような気がするのは僕だけかな。かつての政治改革騒ぎでも、改革派は正しくてイメージ操作された守旧派は間違っているというムードの結果、「自民党はだめ、ここは民主党に一度政権とらせよう」というムードの結果・・・。それをもう一度考えてみたらいい。

変化だとか、改革という言葉に騙されてはいけない。

それによって失うものは明確だが、得られるものは不確かなのである。そんな「賭け」の果てがどれほどの惨禍をもたらすかは、大日本帝国の滅びによって身にしみてわかっているはずではないか。


今日はこれまで

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