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2011年1月19日水曜日

もう一回TPPについて

「主観」と「客観」についての話を続けなければならない本日ですが、ちょっと別のことを書きます。 

以前、ここでTPPについて2回書きました。勉強していないので賛成、反対は留保すると書きました。





お恥ずかしい、大変お恥ずかしいことにひどい事を書いてしまいましたので、訂正したいと思います。こう書いたのです。↓

壊滅するかもしれない品目は「チーズ」が浮かびますね。自由化になったらフランス産のチーズが安く買えるわけですから、僕なんか飛びつきますね。先日のブログではないですが、生産技術の伝統が違いますからね。日本の乳業メーカーがつくるチーズとは比べ物にならない・・・。市場から駆逐されるでしょう。しかし、それが世のならいです。

アホみたいですね。TPP環太平洋云々にフランスなど入っていないです。大馬鹿な文章でした。だから、僕が望む安いチーズなど入ってこない。本当にごめんなさい。ご容赦ください。

と、その参加国、交渉国をあらためて調べたのですよ。

シンガポール、チリ、ブルネイ、ニュージランド この4カ国で始められたものに、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが参加を表明したと・・・。これで9カ国になります。日本が入れば10カ国になります。韓国は不参加を表明し、アメリカとの二国間FTAで行くらしいですね。

韓国は世界の孤児になるつもりなのか?

それよりも、ちょっとこの参加国を見て下さい。ほとんどが農業国で経済規模も小さい。これらの国とそれを結んで、経産省や財界が声高に叫んでいる日本の輸出額は増えるのか?単純な疑問です。

ジェトロのWeb(http://www.jetro.go.jp/theme/wto-fta/basic/tpp/)にデータが出ています。TPP参加交渉国の世界貿易に占める割合です。以下、引用します。

TPP交渉参加9カ国は、世界人口(67.3億人、2009年)の7.4%、世界経済(57.8兆ドル、2009年)の27.7%、日本の往復貿易額(1兆1,323億ドル、2009年)の25.2%、日本の対外直接投資残高(7,404億ドル、2009年末)の40.6%を占める。

この数字をみると、無視できない数字であることがわかりますね。まさしく、参加せず国を閉ざしたら、「世界の孤児になる(米倉経団連会長の言葉)」ことが心配されます。

やはり、「開国」せねば!明治の開国に次いで、平成の開国だ!!

というのが巷の議論になっていますが、これ果たして本当でしょうか?

このデータですが、「参加交渉国」となっているのがトリックです。なぜなら交渉国の一つ「アメリカ」が入っているからです。その数字からアメリカを除いてごらんなさい。恐らく数%ですよ。そんな経済規模の国々と、関税を撤廃する様な協定を結んで得するのは、日本への農産物や鉱物資源の輸出を増やしたい国々だけです。日本の製造業はそんな国に輸出などできませんよ。そこを相手に今以上に日本の輸出が伸びるのでしょうか?たかだか、9カ国の協定に参加しないことが、「世界の孤児」?とんでもない嘘八百ですね。


ちなみに、参加9カ国のGDPを調べてみました。統計局HPからですがブルネイは載ってませんでしたので、別口で調べました。全て2008年データです。前述ジェトロの数字とは異なります。

・シンガポール:1,800億ドル
・ベトナム:900億ドル
・マレーシア:2,200億ドル
・チリ:1,700億ドル
・ペルー:1,300億ドル
・ニュージーランド:1,300億ドル
・オーストラリア:1兆ドル
ここまでの計:1兆9,200億ドル

・アメリカ:14兆ドル
・日本:5兆ドル

7カ国合計でも日本の40%のGDPしかない国と自由貿易になったとして、その日本のメリットは一体何なのか教えてほしいわ・・・。そんな国々に一体日本の何を輸出したら、日本の経済成長を促すもととなるのかな。

※ブルネイは統計局の同じ資料にはGDPが記載されていなかった。「世界経済のネタ帳」(http://ecodb.net/country/BN/imf_gdp.html)とかいうところで調べたところ、140億ドルでしたので、完全に無視できる数字です。

ここで、韓国の不参加の理由が明らかになるのです。この参加交渉国の中で韓国が今より輸出したいのは米国です。他の国ははっきりいってどうでもいい、今の貿易協定で十分なのでしょう。だから、米国だけとの2国間交渉なのです。他の国々は米国、日本、韓国に輸出したいと当然考えます。そうすると、米国だけと自由貿易をしたいだけなのに、TPPに参加したら必要のない国とまでそれをしなければならなくなる。それを避けたのです。極めて真っ当なことですね。ちなみに韓国のGDPは9,300億ドルです。

これらの国で日本と利害が一致しそうな工業製品の輸出国は皆無です。ということは、日本は自身に有利なルールを作るということが不可能ということです。だって、仲間がいなければ多数決で勝てない。

さて批判の矢面にたっている日本の農作物の高関税・・・。前にも書きましたね「コンニャクイモ」の1706%!しかしよく調べてみると、日本の農作物の平均関税率というのは11.2%でしかなく、EUの20%よりも低いのですよ。アルゼンチンやブラジルは30%を超えてますし。

このソースは「赤旗」なんですが、どうも、共産党は非常にまともな事を言っているなと感じてるのですよ、最近は。親米保守の新自由主義を振りかざす人よりは、日本という国家をよく考え、よほどまともな事を言っていると思います。赤旗はTPP参加は日本の農業と地方を滅ぼし、潤うのは自動車産業と電機産業だけだと言っているのですが、この後者は間違っているかも知れませんね。

しかし、どうですかこのTPPの実態・・・。

巷では長期的な「中国包囲網」とかいう意見もあるようですが、包囲網が完成する前に日本がなくなる・・・。

それにしても、米倉住経団連会長はきちんと物ごとをわかって言っているのでしょうかね。ご自身の住友化学のみに大きなメリットがあるからだとしか思えない。チリ、ブルネイ、ニュージーランドも鉱物資源が豊富だぞ・・・。なんて、痛くもない腹を探られますぞ。もう少し、まともな発言をしてもらいたい。

食糧安全保障だとか、自由貿易の拡大発展だとか、そういう背景は関係なく、こんな日本だけが狙い撃ちされるような協定に拙速で臨んでは国を滅ぼすことになる・・・。

今はこんな風に思っています。


今日はこれまで。

※参考は以下。必見です!
http://www.mxtv.co.jp/nishibe/archive.php?show_date=20101218

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