人気の投稿

2010年12月2日木曜日

再び食糧安全保障 TPPを巡る日常

11月30日の読売新聞朝刊記事から。

経産省「成長の源泉である貿易が農業の犠牲になるなど国賊ものだ」

農水省「TPPなんか問題外だ。農業が壊滅する。拙速は避けコメは守る」

両者の主張は真っ向から対立してます。全国農業協同組合中央会の会長は「開国と農業再生は両立できない」と語気を強め、941町村加盟の全国町村会長は近くTPP反対を決議するらしいです。

農水省の試算によれば、すべての関税を撤廃すれば国内1次産業の生産額は4兆円以上が吹き飛び半減するのだそうです。

逆にTPP不参加ならば「10年後には国内総生産の約2%に相当する10兆円余が失われる」と経産省は反論しています。


農業政策と土地政策は、長らく政権の座にあった自民党の無為無策がなしたものだと断言できます。農業従事人口というのは、今260万人しかいないのだそうですが、しかも今後10年で100万人以上がさらに減るとか・・・。

世の中のいかなる産業も、浮き沈みがあるのが自然であることを考えれば、なぜことさらに「農業」という産業だけを頑なに国が守ろうとするのか。前にも書きましたが、食糧自給率の維持云々を理由にそれを言うことの意味も、この国の貿易がストップしてしまえば、日本国民は食べるものがなくなりますので、それが100%ならまだしも、今のレベルでどうこういうのはおかしいですね。「コメ」だけでは人間は生きられませんし・・・。

純粋に、「カネ」のことだけに限って考えましょう。「食糧安全保障」だとか「稲作は日本の文化」だとか、そういうことは抜きにしてです。

商品の価値は市場が決定します。かつて、散々騒がれた「牛肉自由化」。日本の畜産業は壊滅しましたか?自由化反対論者は「壊滅する」と言っていたのですよ。確かに安い米国、豪州の牛肉が市場に溢れていますが、地元の高級とは言えないスーパーでも、国産牛はきちんと売られています。消費者はただ「安」きに流れるのではないのですよ。牛肉に関していえば、国内生産量は自由化前とほぼ大差なく年間50万トン前後とのこと(読売新聞記事)。

記事には、日本の農産産物の高関税品目の一覧表が出てましたが、一番高いのは1706%の「コンニャクイモ」!!。この数字の根拠と、なぜその品目にその高関税なのかの理由を是非とも知りたいところですね。次いで「エンドウ豆」の1085%。「コメ」の778%がベスト3となっています。

皆さんの家庭でもそうだと思いますが、ただ単に「安い」という理由だけで、消費者がモノを買うとしたら大間違いであり、たとえ値段が高くともそこにそれだけの価値があれば買うわけでしょう。麺にしても、パンにしても、安価な外国産の小麦は今でもあるにもかかわらず、「国内産小麦使用」と明記して、高い値段で売っているじゃないですか。「農業が壊滅する」なんてことは到底考えられないですね。壊滅する恐れがあるのは「農業」ではなく、ある「品目」だと思いますよ、可能性としては。ただ、それも極めて少ないのではないでしょうか。「地場野菜」というのは、ある種の高付加価値商品になっていますし、たとえ、「エンドウ豆」が激安になっても、僕は中国産を買わない・・・。そういう人はたくさんいると思います。

付加価値というのは、商品の差別化を図ることで生れます。一般家庭だけでなく、産業で原料として使う農畜産物も、その原産国明示を義務付けられれば、やはり「国産」ということだけでも立派な差別化になるでしょう。

壊滅するかもしれない品目は「チーズ」が浮かびますね。自由化になったらフランス産のチーズが安く買えるわけですから、僕なんか飛びつきますね。先日のブログではないですが、生産技術の伝統が違いますからね。日本の乳業メーカーがつくるチーズとは比べ物にならない・・・。市場から駆逐されるでしょう。しかし、それが世のならいです。

前にも書きましたが、この国は貿易立国として生きていくしかない以上、「開国」か「鎖国」かと問われれば、「開国」を選択するしかないような気がします。そして、この戦争のない状態と、自由市場を守るためには、「道義」の上に立って世界中のあらゆる事に援助の手を差し伸べる・・・。

http://3and1-ryo.blogspot.com/2010/08/blog-post_05.html

同じ島国であるイギリスはどうなっているのでしょうか。あの国の食糧自給率も日本並みに低かったと記憶してます。まぁ、イギリス人はあまり美食家ではありませんので、ジャガイモだけがあればいいのかも知れませんがね。


TPPについては、あくまでも、何の知見も持たない僕の意見です。この件について、新聞報道以上の情報も、書籍等による勉強もしていません。

今日はこれまで。

0 件のコメント:

コメントを投稿