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2010年12月11日土曜日

百年の孤独


とりとめのないことを。

15年ほど前でしょうか。仕事で宮崎市を初めて訪れた際のこと。少しばかり高級そうな飲み屋にはいり、そこの女将に「宮崎の地元の酒は?」と尋ねました。


「今は『百年の孤独』があります」
「なんですか、それ」
「有名な焼酎ですよ」
「焼酎ならいりません」

こんな顛末です。帰京後、『百年の孤独』なる焼酎を調べると、幻中の幻の逸品であるとのこと。何とも惜しいことをしたと後悔しました。知ることも哀しいが、知らないことはもっと哀しい・・・。

その後何度目かの宮崎訪問に際、空港で「おひとり様2本限り」ということで、それが売られていました。すぐさま買い求めたことは言うまでもありません。1本3500円でした。

こんな焼酎があるのだろうかと驚きいるばかりでした。その焼酎の名前は同名の小説から名付けられたとのこと。コロンビアの作家ガルシア・マルケスなるノーベル文学賞受賞作家の筆です。

この小説、一言ではとても形容できません。とにかく不思議な物語です。初めて読んだ時は登場人物の名前にこんがらがり、誰がいつ生れ、誰の子で、いつ死んだか・・・。そんなことに翻弄されつつ、読み進めていった記憶があります。

2度目に読んだ時には、登場人物の相関関係を頭にいれ、それぞれの出生、死亡には付箋をはり、混乱しないように読み進めました。

ある一族の100年にも及ぶ奇想天外な物語なのですが、今になってそのタイトルの意味がおぼろげながらわかってきたように思います。

僕なりの理解です。


「孤独」とは忘れられていくことなのです。

つまり、僕の初読時の混乱こそが「孤独」を知る意味で正しかったことになる。人間の「生」なぞ、そこにどんな物語があろうとも、すべて消え去り、忘れられていく・・・。「無常」ということですな。

今の僕に言えるのはこのくらいです。かなりの大著なので、読み始めるのには覚悟が入りますが、いざ始めてしまえば、すいすいと進むはずです。暑く乾燥した世界の様子が伝わってくるので、今の時期には読むのに好都合かも知れません。

今日はこれまで。


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