この時期の早朝、晴天とはいえ何とも頼りなげにみえる朝日の柔らかさ。
そこに照らしだされる銀杏の木の姿は、何ともいいようのない美しさがあります。
黄色く色づいたのも束の間に、ほぼ葉が散り落ちてその残滓が足元に広がるのみとなり、そうしてそれが、この木の「生きていた」ことを知る唯一の手掛かりとなります。
まったく不思議なもので、緑の装いが黄色く染まり、その後は幹の色しか映さない木々は冬の間は生きているのか、死んでいるのかがわかりません。
でも、春になれば見事に芽吹き、また緑色に染め上げる。
この生命のサイクルを思うとき、実に見事としかいいようがありません。
「降り積もる深雪に耐えて色かへぬ 松ぞおおしき人もかくあれ」
昭和天皇が敗戦直後の昭和21年にお詠みになったものです。敗戦という絶望の淵に沈んだ翌年に詠まれた歌だということを考えると、実に感慨深いものがあります。
「ヒ素」をもとに繁殖する新種の生命体が見つかったことがニュースになりました。生命維持に必須である「リン」がなくとも生息できる生命体ということで「大発見」だとのこと。
近代科学はたかだか200年の歴史もない。世の中は知らないことだらけだというのが事実でしょう。今までの常識を覆すような発見はこれで終わることはないでしょうね。
変わらぬのは、生があって死があるというその生命のサイクル。
そして、そこから何ほどかを感じ取る人間の心根かも知れません。
「花になくうぐひす、みづにすむかはずのこゑをきけば、いきとしいけるもの、いづれかうたをよまざりける」
古今集の序文にあります。
今日はこれまで。
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