久しぶりに江藤淳の名前をみた。
12月12日の日経「忘れがたき文士たち」という記事でだ。
彼は学生時代に「夏目漱石」を著して文壇にデビューした。僕は、彼の本職「文芸評論」分野での彼をほとんど知らない。ただ知るのは、戦後GHQがどのように日本の言論を封鎖、抹殺していったかを描いた「閉ざされた言語空間」他、数冊のみである。
保守派にあり重きをなす知識人であった。
ある時、彼が長年連れ添った奥さんを癌でなくし、その悲痛な心持ちを綴った文章が「文藝春秋」に載った。奥さんとは学生結婚以来40年間に渡りずっと連れ添った人だったらしい。
本当に哀しい文章だった。
僕は、「彼も死ぬつもりだな・・・」と直観した。そう父親に話したことを憶えている・・・。
その数カ月後だったと思う。彼は本当に自ら命を断ってしまった。
脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は形骸に過ぎず。
自ら処決して形骸を断ずる所以なり。
乞う、諸君よ、これを諒とせられよ。
という遺書を遺して・・・。
「生きることが大事」「自殺はいけない」
とかいう言葉は、彼の自裁で何の重みもないものだと思うようになった。
今日はこれまで。
追伸)
江藤 淳(えとう じゅん、1932年[注釈 1]12月25日 - 1999年7月21日)は日本の文学評論家、慶應義塾大学文学博士。戸籍名は江頭 淳夫(えがしら あつお)。勝海舟や夏目漱石の研究などで著名。東京工業大学教授、慶應義塾大学教授等を歴任。昭和50年(1975年)日本芸術院賞受賞、平成6年(1994年)から日本文藝家協会理事長。他に菊池寛賞、野間文芸賞受賞。
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