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2010年12月14日火曜日

ある「自裁」

久しぶりに江藤淳の名前をみた。


12月12日の日経「忘れがたき文士たち」という記事でだ。


彼は学生時代に「夏目漱石」を著して文壇にデビューした。僕は、彼の本職「文芸評論」分野での彼をほとんど知らない。ただ知るのは、戦後GHQがどのように日本の言論を封鎖、抹殺していったかを描いた「閉ざされた言語空間」他、数冊のみである。


保守派にあり重きをなす知識人であった。


ある時、彼が長年連れ添った奥さんを癌でなくし、その悲痛な心持ちを綴った文章が「文藝春秋」に載った。奥さんとは学生結婚以来40年間に渡りずっと連れ添った人だったらしい。


本当に哀しい文章だった。


僕は、「彼も死ぬつもりだな・・・」と直観した。そう父親に話したことを憶えている・・・。




その数カ月後だったと思う。彼は本当に自ら命を断ってしまった。




脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は形骸に過ぎず。
自ら処決して形骸を断ずる所以なり。
乞う、諸君よ、これを諒とせられよ。


という遺書を遺して・・・。




「生きることが大事」「自殺はいけない」


とかいう言葉は、彼の自裁で何の重みもないものだと思うようになった。


今日はこれまで。


追伸)

江藤 淳(えとう じゅん、1932年[注釈 1]12月25日 - 1999年7月21日)は日本文学評論家慶應義塾大学文学博士。戸籍名は江頭 淳夫(えがしら あつお)。勝海舟夏目漱石の研究などで著名。東京工業大学教授、慶應義塾大学教授等を歴任。昭和50年(1975年日本芸術院賞受賞、平成6年(1994年)から日本文藝家協会理事長。他に菊池寛賞野間文芸賞受賞。

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