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2011年2月27日日曜日

226へ その4 予兆

2月27日。

軍幕僚の策動も予感はしながらも、彼らはこの日もまだ得意の絶頂にあった。彼らの部隊は、討伐されるどころか、治安維持のための警備部隊に編入され、所属原隊から防寒具、食料の配給も受け、まるで「官軍」であるかのようだった。

一般市民からの激励や、差し入れやらも彼らに届けられる。東京にあってそれを知る大方の国民は間違いなくこう思ったはずである。

「これで世の中もよくなる」

この国民の声を無視しては、あの事件は語れない。


彼らの目指す「昭和維新」はその端緒に着くかと思われていた。ひとつ気がかりなのは、彼らが信頼する軍上層部がしきりに「撤兵」を主張すること。それだけは、何の確証もない状態のままのめる条件ではなかった。


天皇は、いまだ討伐の道筋すらつかない事態に苛立っていた。天皇は、おそらく日本でただおひとり、彼らを明確に「賊」とみなしていたお一人である。

その怒りを彼らは知る由もない。

今日はこれまで。


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