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2011年2月28日月曜日

226へ その5 絶叫

2月28日。

この日午前5時。彼らの部隊の原隊復帰を命じる「奉勅命令」が出される。奉勅命令とは天皇直々の命令で、他の命令とはその重みが異なる。

しかし、彼らにそれを正確に伝える者は一人としていなかった。彼らは警備部隊として軍の統帥下にある。したがって、彼らの指揮者がそれを命じなければならない。だが、その指揮者はそれを伝えなかった。そればかりか、「そんなものは出ていない」とまで、嘘をつく・・・。

驚天動地。

彼らはこの形勢の逆転を即座に信じることはできなかった。その理由もわからなかった。誰もかれもが皆「兵をひけ」しかいわなくなった。昭和維新の詔勅もでていない。彼らは包囲されてもいる。

「一体どうなっているんだ。わけがわからない。」

これが彼らの偽らざる心境だった。



「余は吾々を此の羽目におし落した不純幕僚に対し、冲天の怒りをおぼえ、悲憤の余り別室に入りて天地も裂けよと号泣する」
(磯部浅一『行動記』)




磯部の号泣もむなしく、事態は彼らの崩壊に向かってまっしぐらに進んでいた。


彼らは天皇の怒りを知る由もない


今日はこれまで。

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