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2010年10月28日木曜日

あまりにもひどい・・・対中融和に必要なもの?

 10月27日付日経朝刊31面の経済教室。「中国を考える―関係再構築へ(下)」です。


キヤノングローバル戦略研究所研究主幹である瀬口清之なる人の文章でした。


タイトルは「『民』主導の交流で融和を」として、次の3つのポイントが挙げられています。


・日中関係は改善と悪化の繰り返しの歴史
・教育による反日感情は実体験で覆される
・中国沿岸部の主要都市は落ち着いた状況


今日は、この記事について書きます。


最初に結論を言っておきます。、こういう、一見冷静にみえ、実は何の価値もない論調を有難がる世の中の偽善が僕には我慢できないのです。要するに逃げているわけですね、目前の問題から。


この人は中国が一党独裁の共産政権だということを完全に無視しているとしか思えない。したがって、記事に書かれた内容は全くの絵空事、空想にすぎない。


その理由について述べます。先ず、冒頭からして首をかしげざるを得ないのですが、


「日中関係は改善と悪化の繰り返しである」と述べたあと、過去の日中間の問題である、毒入りギョーザ事件、靖国神社参拝問題、中国の原子力潜水艦による領海侵犯を挙げ、次にこう続ける「その都度両国政府が徐々に歩み寄って関係修復に努めてきた。今もその努力の真っ最中である」と。


僕は、寡聞にして知らないのですが、これは全部解決した問題でしょうか?もしかしたら、一つとして片付いていない問題ではないでしょうか。しかも、「両国政府が徐々に歩み寄って」とあるのは、明らかに事実と違いますね。いつも歩み寄る、というかにじり寄ることをしているのは、両国政府ではなく脅しに屈する「日本」のみです。また、今回両国関係がこじれた原因は、筆者が挙げた過去の例とは次元が異なる「領土」問題と日本官憲への暴力行為です。これと「ギョーザ」の事件は並列には論じられないでしょう。


筆者は、1994年以降のいわゆる「反日教育」が、中国の若者に対して容易に「反日感情」をもたらす原因となっていると述べています。そうですね。これはまさしくその通りでしょう。しかし、次いでこう述べるのです。


「ただ、そうした教育を受けた若者たちも日本に来て日本人の礼儀正しさ、細やかな気遣い、思いやりなどに直接接すると日本に対するイメージが大きく変わり、それまでの反日感情が和らぐケースが多い。だからこそ、両国政府が進める青年交流の意義は大きい。最近の中国人の日本旅行ブームも同様の効果を持つ。学習した理屈から生れた感情は、実体験によって覆される。」


なるほど、その効果はあるのかもしれません。仮にそうした「反日」を翻した中国の若者が多くなったとしましょう。しかし、そうした若者の民意など、平気で戦車で踏みにじるのが中国共産党政権であることをお忘れか。未だにインタ―ネットまで検閲して情報操作をしていることをお忘れか。そんなものは、中国政府の意に沿わなければ何の意味もないことでしょう。それに大事な事を忘れていますね。
「実体験」など、「感情」によって容易に覆されることもあるということ・・・。




筆者は日中間の経済・文化面の交流は最近10年間でかなり高まって来ているとし、中国の経済発展という目的と、売り先を探している民間企業のマッチングが、両国間の政治・外交レベルでも好影響を及ぼしてきたとしています。その例として、小泉政権時代に冷え込んだ日中関係下においても、民間企業を主体とする経済面の活発な交流が両国間で維持されていたではないかということですね。それが、小泉政権後の安陪内閣で両国関係好転の原因ともなったと。


これも「?」ですな。たまたま、中国政府の意向が「靖国で言う事を聞かない小泉をほっていて、経済優先だ」という選択肢をとったにすぎないのではないでしょうか。少なくとも、中国には民意を反映した政治などあるわけないのですから、これをもって、ことさらに民間交流を持ちあげるのはおかしいですよ。今回のケースは経済(レアアース)も、脅しのカードとしたわけでしょ、中国政府は。


「今回の反日デモに関する報道でも、北京、上海など沿岸主要都市の落ち着いた状況や、日本製品の売れ行きへの影響がほとんど見られなていない事実は詳しく報じられていない。」


と述べています。確かに、デモが頻発しているのは内陸部が多く、デモが若者の不満のはけ口になっているとの記事がありますね。比較的豊かな沿岸部は筆者の言う通りなのでしょう。しかし、あえて言わせてもらえば、日本人だって「中国全土がデモの嵐だ」などとは考えていませんよ。さらにいうなら、「日本での反中デモ」も報じられていませんね。日本人が冷静さを失った原因はマスコミにありとでも言いたいのでしょうか。問題はデモ云々ではなくてですね、中国政府の横暴な振る舞いと、その言いなりになった日本政府の弱腰なのですよ。
 


最後に筆者はまた妙なこと言います。


「安全保障分野では2国間の異なる立場や考え方の対立の解消は難しい。しかもその対立の火種はささいな問題から始まる。今回の中国漁船衝突問題がその典型例である」


いつ日中間で安全保障の分野で意見が大きく衝突したのでしょうか。しかも、今回の漁船衝突問題は「ささい」な問題ではどう考えてもないですね。国家の主権にかかわる大問題だから、国会でも街なかでも大きな声があがってるのではないですか。もしかして、日本の状況をご存じないのかな。


「しかも両国とも自国民の感情を無視できないことから安易に妥協することが難しく双方の主張は平行線をたどりやすい」


何度も言いますが、中国は「自国民の感情」など何とも思ってないんですって。あれは日本への外交カードとしてやらせているだけなんですから。




 要するにこの筆者は、政治はおいといて、民間主導の経済・文化交流によりこの情況を融和しようと言いたいらしいですね。最後の締めくくりはこうあります。


「民間企業の経営者や幹部社員は自らが主役であることを自覚し、『民主導』の意識を強くもつことが大切である」


 おお、福沢諭吉ばりの立派なご意見です。何度も言います。相手は共産中国。意見の多様化など一切認めない共産党独裁政権。この志は大変立派ですとだけ言っておきます。




 この人の認識で欠けているものは、日本国内に高まりつつあるナショナリズムですね。そして、またもや日本にだけ「負わせ」て恥じないその意識が僕には我慢がならない。こういうのは、知識人の吐くご高説でも何でもなく、単なる卑怯者の言い訳だと思います。


 あほくさ・・・・。




 今日はこれまで。













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