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2010年10月24日日曜日

祖国とは「日本語」

民主党が使いだした「マニフェスト」なる言葉は「政権公約」と訳されてますが、これは元々はイタリア語で「宣言」を意味する言葉らしいです。有名な事例では共産党宣言「Manifesto of the Communist Party」となります。


 ある時、ひょんなことから「マニフェスト」のスペルは?と調べました。


その発音から「Manifest」と思って調べると、おかしなことに「宣言」を意味する言葉は出てきません。名詞の意味では、1.積荷目録 2.乗客名簿となっており、動詞、形容詞の意味でもそれらしいものは出てこないのです。


「?????」


最近の菅総理のその言い方を聞いてみると、以前とはアクセントが異なっている事も気がかりでした(最初の「マ」にアクセントをつけている)。より正確な英語に近づけたのかなくらいに思ってました。上記の発音記号は
  • 〔mǽnfèst〕


であり、「積荷目録」としてのその発音は正確になっていますが、「宣言」としての「マニフェスト」とは異なります。

 ここで、僕は一つ利口になりました。

「宣言」を意味する「マニフェスト」の正しいスペルは「Manifesto」。最後に「o」が入るのです。こちらの発音は
  • 〔mnféstou〕


となり、後尾にアクセントが移ります。

 その違いが明確になった今、菅総理をはじめ多くの政治家のその発音がやけに耳触りに感じる様になりました。本人たちは、正確な発音に近づけたつもりなのでしょうが、大間違いです。その発音では「積荷目録」ですよ。本来の「宣言」の意味で使いたいのなら「マニフェストー」と語尾を伸ばすのが正しい・・・。

 誰か教えてあげた方がいいですねこれ。英語の堪能な政治家はいるはずですし、ましてや官僚ならその数はもっと多い。

 「あっ!」

もしかしたら、知っててわざと教えていないのかも知れませんね。そうして陰でほくそ笑んでる。

「あの馬鹿」と・・・。

 何れにしても、それを意味する正確な日本語があるのにわざわざそれを言い換えるから、こういう恥ずかしいことになるのだと思います。確かに英語でなければうまく表現できない言葉はありますよ。例えば「マネジメント」と言う言葉は、日本語には正確に訳せないですからね。でも、どう考えても「政権公約」で十分でしょう。みんなの党は民主党の言葉づかいに対抗して「アジェンダ」という言葉を使いましたね。渡辺代表曰く「私たちの行動計画だ」と。

「?????」

「行動計画」で十分じゃないですか。何の不都合があるのか。そもそもその言葉、ラテン語の「行動する」と言う言葉の派生形らしいですので(おぉ、ラテン語とは教養深い)、使い方としては間違っていませんが、日本語でいいじゃないですか。そんな言葉づかいをする人たちが「保守」を自称するとは、僕から見ればチャンチャラおかしい。噴飯ものですな。

 既に故人となられた山本夏彦というエッセイスト(かな)が「祖国とは日本語である」というような文章を書いてました。藤原正彦も同じことを言ってますね。もっと「日本語」を大事にしなければなりませんよ。

 

 10月22日の日経に「歴代首相に聞く」と題して、中曽根康弘がこう語る記事がありました。


「理想の政治家はどうあるべきですか」という問いに対して、

「大衆政治家であると同時に、長期的視点を持った意思の強い政治家、不撓不屈のものを持っている政治家であってほしい。私らの時代は政治家のみならず学者や経済人、文化人との付き合いを非常に重要視して、それらの人々が政権の参謀になってくれた。今の政治家は割合そういうのが少ない。幅の広さと底の深さは政治家には重要だ」

冒頭の「大衆」という言葉の使い方に異論がありますが、


言わんとしていることはよくわかります。そのとおりだと思います。ただ、中曽根氏のいうそういう政治家の少なさというのは、今のこの社会にそういうものがないことの裏返しですからね。「会社人生で必要な智恵はすべてマグロ船で学んだ」などという本がベストセラーになる世の中で、政治家だけにそれを求めるのは酷であり、不可能でしょう・・・。その中でなお、政治家の資質としてそういったものを求め、それが必要だというのなら、冒頭の「大衆」という言葉にはつながって来ないように思います。

かつて吉田茂が「曲学阿世(きょくがくあせい)の徒」若しくは「曲学阿世の輩」と、時の東大総長を罵倒しましたが、今や「曲」げるほどの「学」もなく、「世」に「阿(おも)」ねるだけの人が政治家になっているわけですからね。


今日はこれまで。


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