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2011年5月15日日曜日

正気ではない・・・その2

以前、日経社説の「TPP参加を急げ」をここで批判しました。

http://3and1-ryo.blogspot.com/2011/04/blog-post_23.html

TTPについては、朝日・毎日は知りませんが、日経・読売ともに「参加」を是とし、反対者をまるで頑迷固陋、もっといえば既得権益にしがみつく守旧派のような書きっぷりをしています。選挙制度改革の熱病の時と同じですね。冷静な議論とは思えません。

本日15日(日曜日)の読売社説はこう始まります。

自由貿易を拡大し、経済成長を実現することが東日本大震災の復興にも欠かせない。政府は、米国や豪州など9カ国が交渉中の「環太平洋経済連携協定(TPP)」への参加を速やかに決断すべきだ。

明らかな論理の飛躍があります。ここで言っているのはTPPへ参加すべき理由として、「自由貿易を拡大することが経済成長の実現と復興にも欠かせないから」ということですね。 ということは今現在の日本では、自由貿易ではない、もしくは自由貿易度合いが足りないということになります。これは真っ赤なウソですね。これがつっこみの第1点。

正確を期すなら、「自由貿易」という言葉の定義からすべきですが、おそらく社説のは、関税なき貿易ということをもって自由貿易としているのでしょう。ですが、そんな国は皆無ではないでしょうか?自由貿易に対立するものとして保護貿易というものを持ってきていると思いますが、もともとこの2つは対立するものではないですね。どこの国にでも自由貿易を掲げながら、関税をかける品目は必ずありますから。

読売に限らずマスコミは、こうやって意図的に対立の図式を作り出しているとしか思えない。言っておきますが、こんな風に簡単に図式できることなど幼児の世界観でしかない。

今の日本は世界に比しても堂々と自由貿易国家であると主張できると思います。

つっこみの第2点は、自由貿易を拡大すれば、それが「経済成長の実現」と「震災復興に欠かせない」としていることです。本当にそうなるのか? 自由貿易がバラ色の打ち出の小槌だと勘違いしているのではないか?その根拠を示してくれといいたくなります。


社説にはこうもあります。
(参加表明の)決断が遅れると交渉に参加できず、将来、日本に不利な貿易や投資のルールを押しつけられることになりかねない。

おいおい、それをいうなら、そもそも交渉国の中で日本と利害が一致するような国はあるのかないのかをよ~く考えるべき。それらの国のうち、日本のような製造品の輸出国は日本のみですよ。他はすべて農産品の輸出国。もともと日本とタッグを組んで有利なルールを作ろうとする国などないのです。ということは、そんな中に入って日本の言い分が認められることはまずないと考えるのが自然でしょう。多数決で決まるのでしょうからね。

これもおかしな主張で、つっこみどころ満載です。

さらに続けましょう。

社説は、被災した東北地方は農業が盛んな地域であることから、ここをモデルとした大胆な農業改革を実施したらどうかと投げかけ、それを全国規模に拡大して貿易自由化に耐えられる強い農業に転換させていくべきだろうと主張します。

おっしゃる通りだと思います。後継者問題や生産性の低さなど日本の農業を取り巻く課題は山積かつ深刻です。しかし、それと貿易自由化に耐えられるのかどうかはまた別の問題と思いますね。為替の問題、あるいは賃金格差の問題をどう考えているのでしょうか?日本の製造業がいかに合理化を進めてもコストの削減には限度があり、激しい価格競争にさらされる多くの製造業が海外に工場をシフトしていった事実を考えると、生産性云々で貿易自由化に耐えられるなどと考えるのはどうにも疑問符がつく。

TPPは、工業品の輸出を伸ばし、国内産業の空洞化を防ぐためにも極めて重要だ。

TPP参加賛成論者は、きまってこのようにいいます。ホントに教えてくれ、9カ国のうちどこが今以上に日本からの工業品の輸入を伸ばしてくれるのか。米国くらいのものでしょう。他の7カ国は農業国ですからね。7カ国合計で日本の40%しかないんですよ、GDPは。だったら、米国とだけ二国間の交渉をすればいいんですよ。韓国と同じように。

産業界は、震災の影響に加えて、円高や電力不足にも直面している。

社説はこう書いた後、トヨタ幹部の「一企業の努力の限界を超えている」という言葉を紹介したあと、

日本でのモノ作りが不利にならないよう、TPPを活用して競争力を強化しなければならない。


と記事を結んでいますが、円高や電力不足はTPPとは何の関係もないですね。もっといえば、円高の問題は、社説のいう産業品の輸出増大を危うくるするもの。そしてモノ作りとTPPの関係も記事を読んだだけではさっぱりわかりません。

オバマ政権は政策の柱として米国産品の輸出の拡大を謳っています。とすると、この円高は米国が狙って仕掛けたものとも考えることができるでしょう。米国にとっては好都合ですし、もっといえば、日本をTPPに参加させ、農産品にかけられている関税を0にできれば、米国産品の輸出は急激に拡大します。米国にとってTPPとこの円高は国益に沿うことなのです。日本にとっては大打撃ですね。とうより国を滅ぼすもとになる・・・。もっとましな議論をしてくれといいたい。

TPPについては、ここで何回か書いています。以下ご参考にまでに。

http://3and1-ryo.blogspot.com/2011/01/tpp_25.html 

http://3and1-ryo.blogspot.com/2011/01/tpp.html 




大体世の中、声の大きい奴があげている声は間違っていることが多いもんだよ。これは僕の経験からだけど。


今日はこれまで。






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